<金口木舌>菊酒に願う吉祥

 静かな語り口だが、少女の言葉は決意に満ちていた。「軍隊のない、悲劇のない平和な島を返してください」。米兵による少女乱暴事件に抗議して1995年10月21日に開かれた県民大会

▼当時1歳の娘を抱えた記者は、会場に居合わせた母親たちと涙しながら壇上を見詰めた。子どもの世代には悲しい思いをさせまいと誓った。あれから17年。やりきれない
▼2米兵による集団女性暴行致傷事件が起きた。女性の知人がすぐに警察に通報し、容疑者のスピード逮捕に結び付いた。米兵は数時間後、グアムに移動する予定だった。間一髪、海外逃亡が食い止められたが、もやもやは晴れない
▼米兵が宿泊ホテルに戻らず基地内に逃げていたら、日米地位協定の壁に阻まれ県警は身柄確保に難渋しただろう。95年の事件では身柄引き渡し問題でもめたのに、協定の変わらぬ現実が情けない
▼作家の吉永みち子さんが過日、全国の報道関係者を前に指摘した。「在京紙は沖縄で悲惨な事件事故が起きたら大きく報道するが、問題が地位協定や日米安保など政治マターになると思考停止する」と
▼仲井真弘多知事が事件を「正気の沙汰ではない」と批判したが、それは「治外法権」を許す地位協定にも向けられている。報道機関としてこれにどう切り込むか。政府と同調して新聞まで思考停止となってはなるまい。自戒を込めて。