<金口木舌>ペリー日誌が照らし出す

 琉球王府と幕末日本を揺さぶったペリー提督の航海日誌と「波之上のガンチョー」の異名で知られる宣教師ベッテルハイムの日記がガラスケースに並んで鎮座している。この光景、冥界の両人からどう見える

▼うるま市立中央図書館で始まった琉球大付属図書館貴重書展での一こま。航海日誌の方は「ペルリ提督日本遠征記」の書名で邦訳されている。ベッテルハイムも登場人物の一人
▼王府の監視の下で困難な布教活動を続けていた異国の宣教師はペリーとの出会いがよほどうれしかったようだ。日誌にある「喜びのためにほとんど我を忘れている」というベッテルハイムの言葉は、どことなくほほ笑ましい
▼沖縄に関わる記述で有名なのが、酒に酔って沖縄の女性を乱暴した艦隊の水兵が激高した住民に殺害されたという1854年6月の事件だ。水兵の名を取って「ボード事件」として今日に伝わる
▼ペリーは水兵の死を「婦人に対して極めてけしからぬ暴行を加えた結果」と断じる一方で住民の処分を要求した。日誌は記す。「琉球人とアメリカ人との全交際中に生じたひどく不愉快な出来事」と
▼日米両政府が今回の事件を安保条約維持に固執する立場から「不愉快な出来事」ととらえるのなら、沖縄の悲しみや苦悩とあまりにも隔絶していると言いたい。156年前の事件は今日のゆがんだ日米関係を照射する。