<金口木舌>「トンデモ」沖縄テロリスト論

 「トンデモ」の語を世に定着させた「トンデモ本の世界」(洋泉社)によると、その定義は「著者の意図と違う視点で笑えること」。陰謀論など妄想と現実を混同し、ツッコミどころ満載なもの

▼最近の「トンデモ」は1月の自見庄三郎国民新党代表の発言。基地問題を原因とする県民の反発が、独立運動からゲリラや爆弾テロに発展しまいかと心配してみせた
▼あぜんとした。こんな偏見を堂々と披歴し、よく公党の代表が務まるものだ。瀬長亀次郎、阿波根昌鴻の名を挙げるまでもなく、非暴力を貫いてきた沖縄の歴史などご存じないのだろう
▼オール沖縄代表団による東京行動も整然と実施された。自見氏はテロの影をどこに見たのか。「沖縄独立=テロ温床論」という妄想を振りまかれるのは迷惑千万だ
▼作家の池澤夏樹さんは朝日新聞夕刊(5日付)のコラムに、沖縄が反発する「差別」の原因が本土側に問題があることを指摘した上で、宮森小規模の事故が再び起きれば「沖縄人は基地になだれ込むだろう」と書いている
▼「作家の妄想」と断っているので、あえて危機感をあおる言葉で読者に現状を突きつけたのか。それでも意図がきちんと伝わるか気掛かり。沖縄の暴走を心配するより、国民全体で負担を分かち合う方法を真剣かつ具体的に探るのが先ではないか。妄想や偏見でない現実の沖縄を語ってほしい。