<金口木舌> あなたは悪くない


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 「深夜に歩いている女性に落ち度があるのでは」。12年前、県内で起きた米兵女性暴行事件で、被害者を批判する電話がかかってきた

 ▼事件への怒りの電話が多数ではあったが、被害者の「落ち度」をただす声はほかにもあった。過熱する報道の二次被害も深刻だった。同僚と「性暴力の被害者の落ち度を問う偏見、報道が告発する声を封じ込める」と署名記事を書くと名指しで批判された。女性に伝えたかった。「あなたは悪くない」と
 ▼性暴力被害者を心理的、医療的、司法的に支える拠点がワンストップ支援センターだ。全国に6カ所設置されている。「被害直後の急性期支援で大事なことは『死なせない』こと」。性暴力被害者の言葉が早期支援の重要性を的確に表している(2日付社会面連載「生きる力に」)
 ▼沖縄にワンストップ支援センターを設置しようと市民が動きだした。20日、那覇市であったシンポジウムでは「24時間、365日対応できるセンターを」「公的補助があれば医療機関やスタッフの協力も得やすい」との声が上がった
 ▼未成年が危険にさらされている深刻な現状も報告された。内閣府の調査によると、性暴力を受けた女性の7割が誰にも相談できず「泣き寝入り」している
 ▼いつでも駆け込めるセンターが必要だ。つらく苦しんでいる人たちを受け止める社会こそ成熟した社会ではないか。