<金口木舌>体の黄信号と向き合おう


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 県出身の女子プロゴルファー宮里藍が叫ぶ。「なんくるないさー」。数年前のチョコレートのCMだ。沖縄の「なんくるないさ」は、全国でもてはやされる言葉、価値観となった

▼全国放送のテレビドラマ「生きてるだけでなんくるないさ」も記憶に新しい。殺伐としたストレス社会では心に響く言葉だ。しかし使い方を誤ると命取りになる場合もある
▼健康に異常を来した時の行動である。県内では、治療が必要でも通院せずに重症化するまで放置する傾向が顕著だ。人口当たりの入院者数は全国より多いが、通院者数は全国最下位と少ない
▼健診で異常を示す有所見率は2年連続ワースト。沖縄労働局は「再検査の結果が出ても、そのまま検査せずに悪化する例もある」と指摘する。こんな時は「なんくるないさ」と言ってはおれない
▼そもそもこの言葉、「どうにかなる」という意味でよく使われるが、本来は違った。沖縄語普及協議会の宮里朝光会長によると「まくとぅそーけー」が前に付き「正しい事を努力してやればきっとうまくいく」という意味なのだそうだ。「人事を尽くして天命を待つ」に近い
▼経済的負担を理由に通院を控える人も多いだろう。だが重症化すれば健康と出費の両面で失うものは大きい。体に黄信号がともった時「なんくるないさ」は本来の意味で使いたい。自身と沖縄の健康長寿のために。