<金口木舌>「イキメン」


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 PTAの役員選びは「新学期の難関の一つ」だという。これは教師である友人の言葉だ。この時期に保護者会に出た方なら覚えがあろう。誰か手を挙げ希望してくれないか…と願いながらうつむき、長く沈黙する

 ▼役目を一度は担う「1人1役」制度を取り入れる学校もあるが、それでもリーダーは必要だ。友人は一人一人に声を掛け、引き受ける保護者を見定める。役員経験のある保護者に事前に依頼するなど“根回し”をするベテラン教師もいる
 ▼役員を占めるのは圧倒的にお母さんだ。子育ては母親の仕事という意識とともに、専業主婦の参加を前提に組織が運営されてきたとの指摘もある。しかし仕事や介護を担う母親も増え、母親頼みの運営には限界が見えてきた
 ▼最近はおやじの会など父親の活躍の場も増えた。保育園のPTA会長になったのをきっかけに息子2人が大きくなるまで活動したある父親は「ほかの子どもたちと話ができるし、地域の人とも仲良くなれた」とメリットを強調する
 ▼育児に取り組む男性を表す「イクメン」ならぬ、PTAなどの地域活動に頑張る「イキメン」に焦点が当たる時代。イキメンが増えることで地域も活性化しよう
 ▼PTAの理念は教師と親が手を携え、対等な立場で学ぶ場。「民主主義の学校」と呼ばれた時期もある。父親も母親も参加して子どもたちを支える場にしたい。