<金口木舌>子どもの居場所


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 休日の朝、近所で子どものいる家庭を訪ね歩きブザーを鳴らすきょうだいがいた。近くの小学校に通う児童で、休みの日は友達の家で過ごすのが習慣のようだった。日没後も公園で遊び、早朝からスーパーでお菓子を買う姿を見掛けた

▼何らかの事情があって、家庭での養育が難しい様子がうかがえた。3月末、別居していた一方の親と暮らすことになり、引っ越していった。目に涙をため、別れを告げた末っ子の姿が忘れられない
▼小学生の放課後の過ごし方は近年、学童保育、部活動、けいこ事など低学年から分かれる傾向にある。しかし、家庭の経済的な事情で居場所の少ない子どもが増えているのも事実だ
▼こうした中、県内でも徐々に増えてきた児童館は、子どもらにとって貴重な居場所と言えよう。市町村が造り、運営は直営あるいはNPO法人などへ委託し、遊びの場を提供している。県内には68カ所あるが、那覇市でも児童館のない地域があり、設置数は十分ではない
▼活発な児童館では、住民が積極的に運営に関わっている。那覇市の若狭児童館などは菓子作り、野外炊飯など体験型の活動を取り入れ、子どもたちの「心と体を発散できる場所」(南眞人館長)となっている
▼子どもは沖縄の宝だ。家庭や地域に居場所をつくり、子どもたちが安心して豊かな幼少期を過ごせるよう社会全体で支えたい。