<金口木舌>ピンクに込めたメッセージ

 「一斤染」とはどんな色かご存じだろうか。実はピンクの一種だ。ピンクは濃淡によって「紅梅色」「珊瑚(さんご)色」とも呼ぶ。その多様性には驚かされる

▼7月下旬、ピンク色の服やスカーフを身に着けた群衆が那覇市ぶんかテンブス館前広場を埋めた。「ピンクドット沖縄」という催しで、レズビアンやゲイなど性的少数者(LGBT)が、多様な性を認め合う生きやすい社会づくりを呼び掛けた。ピンクは大会を象徴する色だ。大会の発祥地・シンガポールの国旗から取った
▼車いすに乗った女性や父親に車いすを押されて参加した少年もいた。関連講座では、被差別部落出身で差別を受けた境遇を公表する人、精神疾患を患い闘病中のつらさを打ち明ける人の姿が印象的だった
▼ややもすればひた隠しにされそうな境遇を、安心して語れる空間がある。耳を傾けてくれる人たちがいる。イベントが性的少数者の当事者たちにとどまらず、幅広い共感を呼んでいる理由が分かったような気がした
▼日本では異質な他者を排除し、差別を助長する「ヘイトスピーチ(憎悪表現)」がまかり通っている。人の尊厳を否定する言葉の暴力はあってはならない
▼多様性を認め合い、誰もが暮らしやすい社会づくり。ピンクドット沖縄が投げ掛けるメッセージが光る。日本社会を覆う暗い雲に風穴を開けるきっかけになるはずだ。