<金口木舌>反省し対策を


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 地震発生から最短1分で第1波が到達-。政府が8月26日、初公表した日本海側の地震、津波推計に衝撃を受けた人も多いだろう。太平洋側が注目されてきたが、日本海側でも最大値は23メートルに達するという

▼「1分では避難は不可能だ」との声も聞こえてきそうだ。だが諦めるのではなく、構造物の対策や避難経路の確保など、犠牲を防ぐ模索をしなければデータ公表の意味はない
▼9月1日は「防災の日」。91年前に発生した関東大震災にちなんだものだ。以後も大災害が何度も日本を襲った。対策は図られてきたが、そのたびに問題点も浮き彫りになる。8月20日、広島で起きた土砂災害もそうだ
▼政府が土砂災害防止法の下、土石流など重点対策を行う「警戒区域」の指定が進んでいなかったことが明らかになった。背景には住民の資産価値低下への懸念がある。1999年に同じ広島であった災害を契機に法律は制定されたが、教訓は生かされなかった
▼沖縄で特別警報が出た7月の台風8号。予測ほど発達しなかったが大雨は被害を拡大した。8月の台風12号では吹き返しでけが人が多く出た。通過後、油断はなかったか
▼反省し教訓を実行に移さなければ命や生活は守れない。9月1日は立春から数えて二百十日。台風を警戒する契機の日ともされる。自分を守るためにも過去の災害を思い起こし対策を講じたい。