『インターステラー』 物理学+家族でベタな感動作


社会
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 物理学と家族。一見、相いれないように思える2つを組み合わせて、これほどベタな感動作が作れるとは!
 舞台は、劇的な環境変化によって地球の寿命が尽きかけた近未来。主人公を含むNASAのごく少数のクルーが、人類が移住できる新たな惑星を求めて宇宙へと旅立つ…。

そんなSFフロンティア映画の枠組みを使って、あくまでもドメスティックに一つの家族、特に父と娘の絆を丁寧に描き上げる。監督はクリストファー・ノーラン。
 理論物理学者キップ・ソーンを製作総指揮に迎え、現代の科学ではまだ解明されていない謎というハードなSF設定を用いながらも、そこに人類を救おうとする宇宙からのメッセージに一筋の望みを託すという『宇宙戦艦ヤマト』と同じロマンを盛り込み、SF的な謎よりもメッセージの主が誰なのか?という謎で物語を引っ張る平明さが、まずは秀逸。
 その上で視点は主人公の家族に常に寄り添い、しかも父娘の絆がメッセージの謎やSF設定と相互作用を及ぼし合っているから、「結局は愛の力」というご都合主義さえも鼻につかない。真面目すぎてユーモアがないのは玉にキズだが、ノーランのストーリーテラーとしての技量はハリウッド屈指と言えよう。
 『ダークナイト』シリーズは認めないけれど、このベタベタな新作にはやられた! ★★★★★(外山真也)

 【データ】
監督:クリストファー.・ノーラン
出演:マシュー・マコノヒー、アン・ハサウェイ、ジェシカ・チャステイン
11月22日(土)から全国公開
(共同通信)

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外山真也のプロフィル
 とやま・しんや 映画ライター&時々編集者。1966年愛知県出身。学生時代はヨーロッパ映画を中心に見ていたが、情報誌の仕事が長かったため、今は洋の東西を問わず、単館系からハリウッドまで幅広くが信条。主な執筆媒体:月刊TVfan、日本映画navi、ぴあ各誌。

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外山 真也