<金口木舌>相談を自走への一歩に


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 「ホウレンソウ(報告・連絡・相談)」の大切さ、中でも相談することの大事さを痛感することは多い。「あの時、相談していたら」と後悔した経験は誰しもある

 ▼企業経営で、その相談に対応するのが県よろず支援拠点だ。県内事業所の99・9%を占める中小企業、小規模事業者の悩みを改善し「自走」へのアイデアを共に考える。事業者にとっては強い味方になる
 ▼「商品が売れない」「事業承継が進まない」「販路を開拓したい」。昨年6月の開設からことし1月末までに寄せられた相談は1200件を超える。景気回復を実感できない県内企業の姿も垣間見える
 ▼よろず支援拠点の上地哲コーディネーターが名護市内でセミナーを開いた。テーマは「売れるヒット商品づくり」。黒糖やシークヮーサーなど地域産品を活用する事業者がヒントを求めて集まった
 ▼関心を呼んだのは買い手を絞る売り方。NPO法人沖縄グローカルインキュベーションがよろず支援拠点の協力要請を受け、山口県下関市の食品業者と琉球ガラス工芸協業組合とのビジネスマッチングを手掛けた。琉球ガラスの皿を特注し有田焼の皿とトラフグの刺身とのセット販売を行った
 ▼結果、10万円の高額商品が首都圏を中心に2日で完売、500万円を売り上げた。自社や商品の強みを理解してニーズを掘り起こす。弱みを補う連携も活路となる。「物は相談」。その繰り返しが自走への足掛かりとなりそうだ。