<社説>FA18パネル落下 人命の軽視は許されない


社会
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 嘉手納基地や普天間基地を使用する米軍機が部品を落下させる事故が後を絶たない。県や地元自治体が安全管理の徹底を再三要請しているにもかかわらず、事態は一向に改まらない。人命を軽視する姿勢は断じて許されない。

 12日、嘉手納基地で訓練中の米海軍の戦闘機FA18Eスーパーホーネットが、給油口を覆うパネルが付いていない状態で着陸するのが確認された。米軍は13日になり給油口カバーの紛失を認めた。
 同機は沖縄本島近海の訓練空域で訓練をしており、沖縄市の住宅地上空を旋回して嘉手納基地に戻っている。住民の生活区域に部品を落下させた可能性が否定できない。
 2017年12月に、普天間飛行場所属のCH53E大型輸送ヘリコプターが、普天間第二小の運動場に金属製の窓を落下させた。体育の授業中だった児童がおり、紙一重で人身の被害を免れた。
 子どもたちの生命を危険にさらす事態を二度と起こすわけにはいかない。米軍に基地を提供する防衛省は、安全管理の確約が取れない以上は飛行場の使用を認めるべきではない。ところが米軍機の部品落下は日常茶飯事のように続いている。
 昨年だけでも、6月に浦添市の中学校にCH53Eのゴム部品が落ち、8月にもCH53Eの窓が海上に落下、10月には伊江島補助飛行場でMC130J特殊作戦機の装置の一部が落下した。
 今年に入ってからも1月29日に伊江島で、米軍が投下したパラシュート付きの箱が民間地域に落ちる事故が起きたばかりだ。
 安倍晋三首相は12日の衆院予算委員会の答弁で、普天間基地周辺の負担軽減として「空中給油機15機全て岩国飛行場への移駐を実現した。長い間実現できなかったことだ」と自賛した。だが、現実には部品落下をはじめとする事故や飛行場周辺の騒音が激増している。
 一部移転した訓練と入れ替わるように、普天間基地や嘉手納基地では国内外から頻繁に外来機が飛来し、訓練を繰り返しているためだ。12日に給油口パネルを落下させたFA18も嘉手納所属ではなく岩国基地配備で、横須賀基地を母港とする米空母ロナルドレーガンの艦載機だ。
 沖縄の負担は軽減されるどころか増す一方であることは一目瞭然だ。米軍の野放図な基地使用を許しながら、負担軽減と恩着せがましく言われる筋合いはない。
 米軍機事故が相次ぐ背景として、国防予算の削減で後継機への更新や部品整備が遅れ、安全管理がなおざりにされていることが指摘される。
 このままではいつ大惨事が起きてもおかしくはない。給油口のカバーはなぜなくなったのか。米軍は経緯を明らかにし、実効性のある再発防止策を示さなくてはならない。それができない以上、飛行訓練は中止すべきだ。