<社説>県議選まで3カ月 沖縄の将来決める選挙だ


社会
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 任期満了に伴う県議選は5月29日の告示まで3カ月を切った。6月7日の投票日に向け、これまでに現職、前・元職、新人合わせて68人が、定数48の議席獲得に向けて事務所を開くなど、動きを活発化させている。現在の与党多数の勢力構成が変わるかどうかが焦点となる。

 最大の争点は、米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設問題だ。一昨年の県知事選や昨年2月の県民投票、同年4月の衆院3区補選、7月の参院選に続き、再び移設の是非が問われる。
 近年の選挙では移設に反対する候補者が勝利してきた。その結果を無視して移設工事を進める政府の強硬姿勢が鮮明になる中、再び県議選でも民意が示される。選挙結果は移設工事の対応に影響を与えそうだ。
 ほかにも2021年度末に期限切れを迎える沖縄振興計画への対応、子どもの貧困対策、首里城再建への取り組みなども候補者の政策を評価する指標となる。県議選はこれら大きな課題の解決を目指す沖縄にとって、将来を決める重要な選挙と言える。
 全国からも注目されている。辺野古新基地建設を巡り、裁判闘争など政府と対立を深める玉城県政は、県議会で多数を占める与党の支援を背景に政府と対峙(たいじ)してきたからだ。
 玉城デニー知事は1月末の定例会見で「県議選の結果にかかわらず、政府に辺野古新基地建設断念を求めていく」との考えを示した。ただ、移設工事への対抗措置は議会の承認が鍵を握る。与党が過半数を維持するか、野党が逆転するかは、対政府のカードを左右する。
 県議選は県内政局にも大きな影響を与える。今秋から年明けにかけて衆院解散が取り沙汰されている。県内各党は既に次期衆院選をにらんで衆院選候補の人選に取り組んでいる。県議選の結果は支持基盤固めの強弱に直結するため前哨戦という位置付けだ。
 一方、沖縄は今、緊急対応を迫られる難題に直面している。新型コロナウイルスによる肺炎や豚熱(CSF)の発生だ。玉城県政による対策の成否は県議選でも評価の対象になりそうだ。
 県内の政治勢力は県議選で党勢拡大を目指すが、県政与野党ともに結束に不安材料を抱えている。野党系議員の過半数獲得を目指す政治集団「21令和の会」が新たに発足した。自民や公明、元維新の勢力との間に主導権を巡って摩擦が生じる可能性もある。
 一方の与党側は、国政最大野党の立憲民主が県議選で議席獲得を目指しており、「オール沖縄」勢としのぎを削ることも予想される。
 県議選の結果は、玉城県政の運営を左右する。辺野古問題にも大きな影響を与え、2年後の知事選を占う大事な選挙だ。有権者は早くから立候補予定者の動きや政策を注視し、貴重な一票を誰に投じるか、考え始めてほしい。