<社説>「小さな問題」 発言撤回しお引き取り願う


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 ジョエル・エレンライク駐沖縄米総領事、あなたもか。米外交官の口から繰り返し発せられる占領者意識むき出しの発言に、怒りを通り越してあきれるばかりだ。

 エレンライク氏は共同通信社の単独インタビューの中で、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に反対する沖縄の民意について「非常に重要で深刻な問題だが、基地負担を軽減し、日米同盟を強化する在日米軍再編計画の中では小さな問題(one small part)にすぎない」との見解を示した。
 沖縄に赴任しながら現地で起きている現実を直視しようとしないのは職務放棄に等しく、外交官としての資質を疑う。発言を撤回し県民に謝罪の上、速やかに沖縄からお引き取り願いたい。
 共同通信記者が「小さな問題」発言の真意を確認したところ「(地元が反対しているという)問題そのものは小さくない。ただ、日米関係や米国と沖縄の関係を考えれば、部分的なものという趣旨だ」と説明した。言い間違えなどではなく「小さな問題」と確信していることが分かる。
 名護市長選挙、知事選などで繰り返し確認された辺野古移設反対の民意を受け入れないことは、民主主義の否定である。米国は民主主義国家ではなかったのか。沖縄の未来に関わることが「小さな問題」であるはずはない。
 これまでも在沖米国総領事ら米政府関係者から県内の基地反対運動を過小評価する発言が繰り返されてきた。エレンライク氏の前任のアルフレッド・マグルビー氏は基地反対運動に参加する人々は「理性に欠ける」と表現した。09年に総領事に赴任したレイモンド・グリーン氏は「沖縄の世論は基地反対は2割、賛成が2割、6割はどちらでもいい」と事実誤認していた。ケビン・メア氏は総領事を務めた後、国務省日本部長に異動し「沖縄の人は日本政府に対するごまかしとゆすりの名人だ」などと発言したことが発覚し、更迭された。
 県民の心情は「小指の痛みは全身の痛みと感じ取ってください」という言葉に代表される。沖縄が米国の軍事的植民地状態に置かれていた1969年2月、祖国復帰協議会会長の喜屋武真栄さんが国会で日本国民に訴えた言葉だ。喜屋武さんが強調したように「沖縄問題に関する限り私たちは主人公」なのだ。