<社説>オスプレイ改善勧告 今すぐ国内から撤去せよ


この記事を書いた人 Avatar photo 宮城 菜那

 あらためて欠陥機であることが示された。ことし5月、米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイがハワイで起こした墜落事故で、米太平洋海兵隊は調査の結果、エンジンの空気ろ過装置の改善を勧告した。重大事故に直結する機体の欠陥を放置したまま、沖縄、日本の空を飛ぶことはとうてい許されない。米軍は今すぐオスプレイを本国に撤退させるべきだ。

 米海兵隊の調査によると、墜落したオスプレイは自ら巻き起こした砂やちりでエンジン出力が低下した。砂やちりに含まれるマグネシウムなどの物質が、吸い込まれたエンジン内に固着して出力停止につながった。
 普天間飛行場に配備されていたCH46ヘリコプターは自重が7・7トンだったが、後継機のオスプレイは約2・1倍の16トンある。それだけの機体を空中に上げるため、オスプレイのエンジン出力はCH46の4・4倍と強力になった。必然的に垂直降下・上昇する際に巻き上げるほこりもひどくなる。にもかかわらず空気ろ過装置が不完全であることを米海兵隊自らが認めた。いくら言い繕おうと構造的欠陥であることは隠せない。
 今回の調査報告で、米海兵隊は「人為的ミス」であることをことさら強調している。果たしてそうだろうか。報告は操縦士の技量不足、判断ミスを認めながらも「内規違反や飛行規則の違反は見つからない」と明示している。
 その上で「飛行経路や着陸地点を適切に選択」すれば、エンジン出力低下を「最小限にするか、回避できたはずだ」と指摘した。
 オスプレイの運用は整備された滑走路が望ましく、砂漠や荒れ地に向かないということか。4月に起きたネパール大地震後、救援活動中のオスプレイが民家の屋根を吹き飛ばし「役立たず」と地元紙に批判された例もあった。着陸場所を選ぶ必要があるとは、離島への強襲上陸や紛争地の住民保護を目的とする軍用機にしてはあまりにも頼りない。今後も使い続ける必要性はない。
 今回の事故で日本政府のうそも明らかになった。防衛省のオスプレイQ&Aに「片方のエンジンが故障しても、もう一方のエンジンのみで飛行を継続できる」とある。それが机上の空論であることはハワイの事故で明らかだ。日本政府は米国の言い分をうのみにするのでなく、県民・国民の命を守るためにも撤退を申し入れるべきだ。