<社説>慰安婦問題 真の和解へ対話継続を

 戦後70年、日韓国交正常化50年という節目の年の大きな合意には違いない。だが今後も歴史を直視し、関係改善の歩みを確かにしていく普段の努力が不可欠だ。

 旧日本軍の従軍慰安婦問題をめぐり、日本と韓国が外相会談で「最終的な解決」とする合意を発表した。両国がさまざまな課題を乗り越え、問題解決に向けて歩みだしたという点では一歩前進したと言えよう。
 記者会見で岸田文雄外相は慰安婦問題について「当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題」だと指摘した上で「日本政府は責任を痛感している」と明言した。
 1993年の河野談話などを踏襲した表現だが、韓国で明確に表明した意味は大きい。安倍晋三首相は朴槿恵大統領と電話で会談し「心からのおわびと反省の気持ち」を伝え、合意内容も確認した。
 合意を受けて首相は「子や孫に謝罪し続ける宿命を負わせるわけにいかない」と述べた。首相は戦後70年談話でも同様の見解を示していたが、侵略の記憶が容易に消えるわけではあるまい。
 外相会談で日韓は慰安婦問題を「最終的かつ不可逆的な解決」とすることで合意した。だが元慰安婦らに対し、日本が心から謝罪しているとのメッセージが伝わらなければ、首相が期待するような早期解決は到底おぼつかない。
 日韓間ではこれまで日本の一部政治家らから過去を否定したり、元慰安婦の尊厳と名誉を傷つけたりする発言が繰り返され、関係改善に水を差してきた。今回の合意を受け、加害の歴史と真摯(しんし)に向き合う姿勢がいっそう問われよう。
 もとより合意は政府間のものであって、両国の国民がどう受け止めるかは別問題だ。
 合意に対して韓国国内では強い批判が出ている。元慰安婦への支援を目的に韓国政府が設立する財団に日本政府が10億円程度を拠出することになったが、公式な賠償でないとして強い反発が上がっている。
 両国間には歴史認識の他にも竹島をめぐる領有権問題などさまざまな課題が残っている。
 慰安婦問題がどう推移するかは予断を許さない。ただ、高齢化が進み、生存者が50人を切ったという元慰安婦たちの気持ちをくんだ解決が何よりも重要だろう。真の和解に向けて、さらに対話を続けていかねばならない。



琉球新報