<社説>沖縄経済展望 ブランド力磨こう アジアへ飛躍する年に

 2016年の沖縄経済は、拡大基調で推移した15年と同様、引き続き成長を続けそうだ。

 琉球新報がことしの県内景況を専門家5人に予想してもらったところ、総合評価の平均は100点満点で前回調査比2ポイント上昇の84点となり、2年連続で過去最高を更新した。業種別でも全て前年を上回った。
 県はことし4月、商工労働部の国際物流商業課をアジア経済戦略課に改め、同課が県アジア経済戦略構想の推進を担う。足元の経済がいい時だからこそ、将来を見据えた確かな一歩を進めることが大事だ。

国際観光都市へ

 沖縄を訪れる観光客は過去最高を記録し続けている。15年1~11月までの実績は、前年同期比9・8%増の714万9400人と、過去最高だった14年(1~12月)の年間実績(705万8300人)をすでに超えた。
 中でも円安や格安航空会社(LCC)を中心とした国際航空路線の拡充、クルーズ船の寄港増、ビザの緩和、免税範囲の拡大などで外国人観光客の伸び率が急増した。15年1~11月の実績は初めて100万人を突破した。
 専門家は、ことしも引き続き入域観光客数の増加を見込む。このため空港や港湾、道路網などのインフラ整備や宿泊施設の整備などハード面の対応が迫られる。
 これらはどちらかというと量を受け入れるための課題だが、今後は観光の質を高める工夫が必要だ。沖縄が世界水準の観光リゾート地を目指す上で、滞在日数の延伸やビジネスリゾートへの転換などを通して、付加価値の高い沖縄ブランドを確立する必要がある。
 一例として大型MICE(企業の報奨旅行や国際会議、国際見本市など)施設をいかに活用するかである。これまで沖縄が持っていた観光のメニューに、国際的ビジネス客を誘致するメニューを加えることで、沖縄観光の付加価値を高めよう。
 昨年、与那原町と西原町にまたがるマリンタウン地区へのMICE施設建設が決定した。今後は世界水準のMICE誘致戦略策定や建設地周辺の整備の在り方について、しっかり議論し、前進する年にしたい。
 地元の特産品を世界に通用する沖縄ブランドにして観光客に消費してもらう取り組みにも期待したい。農畜産加工品などの原材料を全て地域で賄い、地域に金が落ちる構造にすることが大切だ。
 観光産業を担う人材不足が指摘されている。付加価値を高めるために、産官学連携して通訳案内士をはじめ、国際ビジネスを経験した人材の確保が必要だ。

世界を見据えて

 東京商工リサーチ福岡支社によると、14年4月から15年3月に決算を迎え、業績が好調だった「九州・沖縄の元気印企業」のうち、県別の数は福岡が259社でトップ。2位は沖縄の72社だった。沖縄の好調さが目を引く。
 翁長県政はアジア経済戦略構想で、成長するアジアと日本をつなぐ懸け橋として沖縄の優位性発揮を打ち出した。
 新設するアジア経済戦略課は国際物流商業課が管轄する国際物流ハブ事業に加え、海外航空路線の新規開拓や農林水産物の輸出促進なども担当する。構想に関わる各部の事業や情報を一元的に管理し、より効率的に推進を図る。アジアへ目を向ける構想の具体化で元気印企業がさらに増えることに期待したい。
 沖縄経済が景気拡大する一方で人手不足が深刻だ。日本銀行那覇支店の昨年12月の県内企業短期経済観測調査(短観)によると、県内企業の人手不足感は過去最大を記録した。
 給与を上げても従業員の確保がままならない企業もある。働きやすさの向上、求人・求職のミスマッチの解消に本腰を入れなければ、せっかくのビジネスチャンスを逃してしまう。