<社説>北朝鮮「水爆」実験 粘り強く軌道修正促せ

 危険な綱渡りにほかならぬ「瀬戸際外交」をいつまで続けるつもりだろうか。北朝鮮が初の「水爆実験」に成功したと発表した。

 本当に水爆か、それも小型化できたのか、疑問もある。だが核実験であるのは確かだろう。いずれにせよ核廃絶に逆行する無謀な行為だ。強い憤りを禁じ得ない。
 国際社会で通用するか否かは別として、核実験をする国にはその国なりの理屈があるものだが、今の北朝鮮にはそれが欠如しているように見える。理性的な判断ができる体制なのか。
 この国の核実験は4回目だ。だが今回はこれまでと決定的に異なる点がある。被害者然とした装いをやめた点だ。従来は核実験に先立ってミサイル発射があった。これに国際社会が制裁を科し、その圧力に抗するという構図で核実験を強行するのが常だった。だが今回はミサイル発射が先行していない。直前に核実験をにおわせる言動をし、あえて緊張を高めるのも常套(じょうとう)手段だったが、今回は直前の「新年の辞」でも全く触れなかった。この国の予測不可能性が別次元に入ったような印象を受ける。
 北朝鮮への関心が薄いと見られていた米国に、突然の実験で強烈な印象を植え付け、無条件の対話再開を迫る狙いなのかもしれない。中国との関係修復や韓国との対話が思惑通り進展しないことに見切りを付け、緊張を高めることで内部結束を図った可能性もある。
 だがその代償は計り知れない。前回の核実験時に中国は「さらなる核実験に追い込みかねない」として厳しい対応を控えるよう求めた経緯がある。だから今回の実験で中国のメンツは丸つぶれだ。国連安全保障理事会も前回、「追加の核実験があれば重大な措置を取る」と警告していた。一段と厳しい制裁を科すのは間違いない。
 北朝鮮は「人民生活が第一国事」として経済再建と人民生活の向上を目標に掲げていた。だが国連の制裁強化で経済再建どころかますます窮乏するのは必至だ。理性的か否か疑わしいとする理由はそこにある。
 自制が働かない国には暴発の懸念が付きまとう。無謀な行為が果実を得ることなどないことを痛感させるべきなのは当然だ。一方で孤立化した結果、自暴自棄的な行動を取らないかも懸念される。
 国際社会が結束して包囲網を形成し、断固たる非難を続けつつ、粘り強く軌道修正を促したい。



琉球新報