<社説>土砂条例初適用 自然保全の試金石にしたい

 沖縄総合事務局が那覇空港の第2滑走路建設に向けた埋め立てに使う石材の搬入を県に届け出た。特定外来生物の侵入を防ぐため、県外からの埋め立て土砂などの搬入を規制する県条例の昨年11月施行後、適用第1号となる。県は専門家による採取地の調査などを含め、慎重に審査する方針だ。条例の趣旨を踏まえ、万全な体制で特定外来生物の侵入を防いでほしい。

 国内ではマングースやアライグマ、タイワンリス、ブラックバスなど80種類を超える外来生物がもともといた生物の生存を脅かすとして、駆除の対象になっている。環境省は昨年、生物多様性保全の観点から外来種対策の実施などを記した「外来種被害防止行動計画」を策定した。これを受け、県は外来種対策の指針策定を進めている。土砂規制条例はこうした取り組みの流れに沿ったものだ。
 県内にはこれまで21種の特定外来生物が確認され、生態系への影響も出ている。県は2014年度までに防除対策で約300億円を支出している。生態系への影響だけでなく、経済的な損失も大きい。
 条例施行後、県は環境部に条例を担当する職員を2人増員した。生物や昆虫などの研究者と連携するなどチェック体制の構築を進めている。しかし大量の土砂が搬入される場合、特定外来生物の混入の有無をどう把握するのかなどの課題もある。適用第1号は土砂ではなく石材だが、県は今後の土砂搬入に備えて十分な審査体制で臨んでほしい。
 政府は米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古への新基地建設で、埋め立てに2100万立方メートル、県庁70棟分もの土砂を使うと表明している。うち8割は県外から搬入される計画だ。採取予定地になっている鹿児島県など6県7地区には、他種を駆逐するアルゼンチンアリやセアカゴケグモなど特定外来生物9種が定着している。
搬入される土砂に混入している可能性は否定できない。条例を適用して県内への持ち込みを阻止する必要がある。
 条例には責務をこう記している。
 「わが県の美しい自然は、われわれが祖先から受け継いだ尊い共通の遺産であって、大切にこれを保存して、後の世代に伝えること」
 これまでに前例のない条例を実効性のあるものにするために、今回の手続きを緻密に進め、今後の試金石にしたい。



琉球新報