<社説>小4男児自殺 いじめの実態徹底究明を

 追い詰められ、生きていく気力が薄れる中での必死の叫びではなかったか。いじめを訴えたSOSは届かず、男児は自ら命を絶った。

 豊見城市の小学校に通っていた4年生の男児が昨年10月、自宅で首をつって1週間後に亡くなった。
 豊見城市教育委員会は自殺後の11月に実施したアンケート調査で児童11人がいじめをしたり、目撃したりしたとする回答を寄せていたことを明らかにした。一方で、調査を委託した第三者委員会の見解に基づき、自殺に直接つながる「重篤ないじめ」はなかったとし、調査を続ける方針を示している。
 9月29日のアンケート調査で、男児は「消しゴムを盗まれた。いじめられていて転校したい」という趣旨の記述をしていた。転校を望むほど、切羽詰まっていた男児の回答を担任教諭ら学校側が把握したのは、自殺を図った翌日の10月13日だった。
 学期末の別業務が優先され、目を通すことが後回しになった。学校側が回答から日を置かずに窮状をつかんでいれば、男児の命を救えたのではないか。約半月の空白期間が残念でならない。
 校長は「学校側に落ち度はなかった」としているが、果たしてそうか。岩手県矢巾町で昨年7月に起きた中学2年の男子生徒のいじめ自殺では、担任教諭が生徒の深刻な訴えを抱え込んでしまい、悲劇に至った。いじめを訴える生徒への迅速対応という教訓が今回のケースでは生かされなかったと指摘せざるを得ない。
 ふに落ちないのは、市教委が「重篤ないじめはなかった。一般的な範囲のもの」と結論付けている点だ。重大かどうかは当事者の受け止め方によって異なる。一般的な範囲とは何を指すのか。苦しんでいた男児の心中をおもんぱかる視点が乏しいように映る。
 11月の調査で寄せられた他の児童の回答には「複数人で男児の筆箱を投げ合っていた」「男児の物をわざと机から落とした」などの嫌がらせ行為が記されている。男児が反復継続的ないじめと受け止め、追い込まれた可能性があるのではないか。
 だが、第三者委は加害児童が指導されたことなどを挙げ、「いじめ」と認定していない。唯一認定したのは男児が生前最後のアンケートに記した事案だけという。
 なぜ、男児を救えなかったか。実態の徹底的な究明を求めたい。