<社説>バス転落事故 より実効性ある対策必要

 なぜこんな大事故が起きてしまったのだろうか。14人もの尊い命が失われた責任は重大だ。再発防止のためにも、警察や国に事故原因の徹底究明を求めたい。

 長野県軽井沢町の国道18号碓氷バイパスの入山峠付近で、スキー客39人を乗せ満員状態の大型バスがガードレールを突き破り道路脇の斜面に転落、大破した。
 運転手2人を含む14人が死亡、26人が重軽傷を負った。犠牲者には県出身の女子大生1人が含まれている。県内大学に通う女子学生1人も重傷だ。
 国交省の調べで、バス運行会社が運転手に対して作成する「運行指示書」にルートを記載していないことや、いつ誰が乗務したかを示す乗務記録、免許証情報の乗務員台帳への記載漏れも次々と発覚している。労働時間が基準を超えていたケースもあったという。
 また、同社は今回の事故直前に、運転手に健康診断を受けさせていなかったなどとして行政処分を受けていたことも判明している。
 道路運送法で義務付けられた書類の不備など、法令違反が常態化していた可能性さえある。あまりにずさんで、ひどすぎる。公共輸送を担う会社とは到底思えない。
 法律に基づいた適正な運行・労務管理ができていれば、事故が起きなかった可能性は捨てきれない。バス運行会社の不適切な運営実態を十分に指導、改善できなかった行政側の責任も大きい。
 事故原因はまだ不明だが、バス業界の実態などから、連続勤務や深夜勤務などを原因とした「過労」による居眠り運転の可能性を指摘する関係者は多い。
 国は2012年に群馬県の関越自動車道で高速ツアーバスが防音壁に衝突、乗客7人が死亡、38人が重軽傷を負った事故などを受け、過労運転防止に乗りだした。運転手の夜間運行1回当たりの上限距離を670キロから400キロに変更するなど規制を強化した。
 一定の改善が図られたとされているが、業界では運転手の人手不足もあり、なかなか徹底されないともいわれる。とりわけ労働時間の規制は今も極めて不十分だという。
 長時間労働が恒常化していると批判される運転手の働かせ方を見直さない限り、また同じことが起こりかねない。国交省には、あらためて業界全体の調査を行い、労働実態を明らかにし、より踏み込んだ実効性のある対策を求めたい。



琉球新報