<社説>訪日外国人客最多 地方訪問の仕組みつくろう

 2015年に日本を訪れた外国人旅行者が過去最高の1973万7400人に達した。消費額も3兆4771億円で最高を更新した。

 政府目標である「2020年までに2千万人」実現の可能性が高まった。中国人へのビザ発給要件緩和など観光立国への施策が効果を発揮した形だ。今後は地方に足を運んでもらう工夫など、経済効果が日本全体に波及する仕組みが求められる。
 15年の流行語大賞に選ばれた「爆買い」に象徴される中国人旅行者が観光好調の要因だ。
 14年と比べると、中国からの旅行者数は約2倍となる499万3800人、消費額は2・5倍に当たる1兆4174億円だった。消費額は全体の40・8%を占める。1人当たり消費額でも中国は28万3842円で、全体の17万6168円を10万円以上、上回った。
 好調な日本観光だが、一方では偏りも見られる。最新の観光庁宿泊旅行統計調査によると、15年10月の外国人延べ宿泊者数614万人泊のうち、東京が162万人泊と約26%を占めている。大阪(87万人泊)、京都(49万人泊)と合わせると約48%が3都府に集中する。
 千葉、神奈川、愛知などの都市圏を除けば、地方で健闘するのは北海道(44万人泊)、沖縄(37万人泊)、福岡(22万人泊)などだ。大半の県の宿泊数は10万人未満だ。
 政府の「観光立国実現に向けたアクション・プログラム」でも今後強化することとして通訳案内士の拡大や地域の伝統工芸・伝統芸能体験の観光資源化を挙げ、地方への誘客を促進する構えだ。
 野村総合研究所の調査によると、中国人旅行者の約8割は再来日を希望しており、再来日に当たっては地方観光への関心が高いという。
 こうした外国人観光客を呼び込むには公衆無線LAN「WiFi」の普及や情報発信が課題に挙がる。中国語をはじめとする通訳ガイドの人材確保も必要だ。国が中心となって、こうしたインフラを整備する必要に加え、地方側にも外国人観光客を呼び込む知恵が必要とされる。
 県内でいえば、自然を生かした環境ツーリズムや琉球王朝時代から継承される工芸、芸能がある。独自の文化を守りつつ、観光商品として開発する余地はまだまだあるはずだ。観光立県・沖縄としても数的目標を追求するのにとどまらず、提供する「観光の質」を向上させる契機として捉えたい。



琉球新報