<社説>観光客最高更新 「うとぅいむち」精神発揮を

 県の2015年(1~12月)入域観光客数は前年比10・0%増の776万3千人となり、3年連続で過去最高を更新した。

 沖縄経済のけん引役である観光産業の好調さは喜ばしい。このことにただ浮かれることなく、あらためて課題を洗い出し、質と量の両面から底上げを図っていくことを考える機会としたい。
 外国人客は前年比68・0%増の150万1200人と大幅に増加した。要因として円安に伴う購買客増、クルーズ船の寄港回数や格安航空会社(LCC)の路線増、消費税の免税制度拡充などが挙げられている。
 だが課題もある。クルーズ船が接岸できる岸壁が足りないなど、受け入れ体制の不十分さが浮き彫りになっている。長期的視野に立ち、引き続き空港や港湾、道路網などのインフラ整備や宿泊施設整備などハード面の対応が必要だ。
 外国人客から要望の多い無料公衆無線LAN環境の充実、標識の多言語化などはすぐにでも取り組めるはずだ。急ぎたい。
 今後ますますアジアの経済環境は良くなり、所得は上がると予想される。外国人客向け新規市場の開拓はもちろん、外国人リピーター客の獲得にも力を入れたい。
 一方、国内客は1・6%増の626万1800人と伸び悩んでいる。この現状は打破しなければならない。県の分析では、台風の影響が最大の理由としているが、それを理由にしているだけでは活路を見いだせない。
 国内観光地との競合を勝ち抜くためにも、新たな魅力づくりに取り組み、若年層からシニア層までの需要を掘り起こすなど、新規市場開拓の努力は不可欠だ。
 「質の充実」が指摘されて久しい。沖縄独自の環境、文化を大切に守りながら、観光商品として開発できる可能性は大いに残されている。世界水準の観光地を目指すため、各分野で人材育成を図りつつ、沖縄の魅力をさらに高め、どう発信するかが、課題克服のポイントだ。真の観光立県に向け、質の向上は急務だ。
 4年後の東京五輪・パラリンピックに向け日本への関心が高まる中、沖縄においても「おもてなし(うとぅいむち)」精神の発揮がリピーターを増やす鍵となる。「うとぅいむち」の心をしっかり観光客に伝えることこそ、「質の充実」への原点だと肝に銘じ、官民挙げた取り組みに知恵を絞りたい。