<社説>宜野湾市長選 「普天間」解決を託せる人に


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 宜野湾市長選が24日、投開票される。今回の選挙は米軍普天間飛行場の早期閉鎖と名護市辺野古への新基地建設の是非が最大の争点だ。結果はことし実施される県議選、参院選にも大きな影響を及ぼす重要な選挙だ。

 立候補しているのは現職で2期目を目指す佐喜真淳氏(51)=無所属・自民、公明推薦=と、新人で翁長県政与党の支援を受ける志村恵一郎氏(63)=無所属=の2人だ。
 佐喜真氏は2012年の市長選の時、県外移設を公約に当選し、オスプレイ配備撤回などを併せて求めた建白書にも名を連ねた。だが13年には「さまざまな可能性を排除すべきでない」とし、県内移設を事実上容認する姿勢に転じた。以降は移設先への言及を避け、「早期返還」を訴える。辺野古移設を推進する政府与党からの支援を受け「固定化阻止が公約の一丁目一番地だ」と強く訴える。
 志村氏は「辺野古新基地阻止」を掲げる翁長県政と歩調を合わせ、県内移設反対を前面に訴える。辺野古移設では「普天間」の閉鎖撤去に長い年月がかかるとして「辺野古移設は危険性の放置でしかない。名護市に痛みを押し付けてはいけない」と強調する。一方で翁長県政が明確に県外移設を訴える中で「無条件の閉鎖撤去」を主張しており、移設先に対する立場では県政と違う点もある。
 普天間飛行場の基地負担軽減は市民に実感として広がっていない。13年までに垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが24機配備された。航空機騒音規制措置に反する午後10時以降の飛行も頻繁に実施されている。一方、負担軽減の一環でKC130空中給油機15機が14年8月に普天間から岩国基地に移転した。しかし移転後も県内で度々飛行訓練を実施している。市が設置する基地被害110番には15年10月の1カ月で100件の苦情が寄せられた。過去最多件数を記録しており、負担軽減とはほど遠いのが実態だろう。
 普天間飛行場の閉鎖は緊急を要する課題だ。両候補とも閉鎖を求める立場は一致している。実現方法で違いが出ている。さらに子育て支援、行財政改革、経済振興などでそれぞれ独自の公約を掲げる。宜野湾市だけでなく沖縄の今後を占う選挙だ。有権者は棄権することなく、政策を見極め、普天間問題解決などで市の未来を託せる人に1票を投じてほしい。