<社説>株価乱高下 年金の「出口戦略」が必要だ

 日経平均株価の乱高下が続いている。原油先物相場の下げ止まりを受けて直近では上昇しているが、昨年末の大納会の終値と比べると依然、10%近い下落率だ。

 県内は株式保有者の割合が全国に比べ低いが、この株価の不安定ぶりは沖縄とも無縁ではない。国民年金と厚生年金の積立金を株で運用する割合が大幅に引き上げられているからだ。
 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は運用資産のうち国内株式の比率を2014年10月、それまでの12%から一気に25%へ引き上げた。株での運用は昨年9月末で約28兆円だったから、株価の下落率で単純計算すると、ことしに入ってわずか3週間で2兆7千億円程度が失われた格好だ。
 昨年7~9月期に四半期としては過去最大の約7兆8千億円の損失を出したのも記憶に新しい。年金資産は将来の年金をしっかり担保するのが最大の使命である。極力安全に運用しなければならない。現在の株での運用比率は高過ぎる。元の割合に戻すべきだ。
 しかし一気に売却すれば株価が暴落し、かえって損失を被る恐れもある。いったん上昇に転じた今の局面で、徐々に比率を下げる「出口戦略」に踏み出すべきだ。
 それなのに安倍政権はかえって一段の拡大策に踏み込もうとしている。それまで民間投資会社に運用委託していたのを、GPIFが直接株式を購入できるようにしようとしている。優秀なファンドマネジャーがいる民間でも利益を上げ続けるのは難しいのに、経験の乏しいGPIFで大丈夫なのか。
 もっと懸念されるのは、政府系機関が大株主になることで民間企業の経営が政治的思惑で左右されかねないことだ。旧ソ連型の「計画経済」にもなりかねない。株価をつり上げようとして政府の持つ情報が当該企業に不当に渡る事態も考えられよう。直接購入解禁は懸念材料が多過ぎる。
 既にGPIFは「クジラ」と称される世界最大級の機関投資家だ。運用額が巨額だから株の売却が暴落を招きかねず、売るに売れない状況にある。頭がつかえて穴から抜けられなくなった山椒魚(さんしょううお)のごときだ。
 そんな巨大過ぎるGPIFがさらに株式資産を拡大しやすくするのは、水野和夫・日大教授(経済学)が指摘するように「自分で自分の首を絞めるようなもの」だ。「出口戦略」構築は自明であろう。