<社説>均等法と女性 育児支援の遅れ改善尽くせ

 法の理念は掛け声倒れで、女性が働きづらい企業社会に風穴が開かなかったことの表れと言えよう。

 採用や昇進をめぐり、女性差別解消を目指す男女雇用機会均等法が施行された1986年に入社した大学卒の女性総合職のうち、昨秋時点で約80%が職場を去っていたことが分かった。
 国内の主要企業100社へのアンケート調査によると、採用された1003人のうち昨年10月の在籍者は212人しかいなかった。育児と家庭の負担が女性に偏り、仕事との両立がかなわずに職場を去った女性が多いことを示す。
 働く女性を支える環境の不備を直視し、能力と実績を踏まえた昇進差別なき処遇の確立、家事や育児を引き受ける夫を増やす意識改革が求められる。
 こうした懸案は、長時間労働が評価される土壌と背中合わせの古くて新しい課題である。女性の活躍推進を掲げても男性の理解と行動が伴わなければ、絵に描いた餅になる。安倍政権は育児支援の遅れを改め、今も横たわる男女格差をなくす具体策を練り直すべきだ。
 夫が働き、妻が家を守る価値観を「性別役割分担意識」と呼ぶ。内閣府の世論調査によると、均等法施行以前の1979年には女性の7割が容認していたが、その賛否は2002年に初めて逆転する。
 99年の均等法改正で「努力義務」が「義務」に格上げされ、性的嫌がらせに対する配慮義務も加わったことで女性の意識を高めた。育児・介護休業制度が確立し、結婚退職は大幅に減った。こうした点は均等法の成果だろう。
 だが、世界と比べると、日本の現状はお寒い限りだ。世界経済フォーラムが示す男女差別が少ない指数ランキングで、2006年に80位だった日本はその後、100位前後に低迷している。女性議員の少なさが際立ち、妊娠や出産を理由に嫌がらせを受けるマタニティ・ハラスメントの頻発も社会問題化している。
 働く女性の割合を世代別で示した折れ線グラフの「M字カーブ」が解消していない。就職を望みながら出産や育児のために断念する25~34歳の女性は多く、その前後の年齢層と比べると折れ線が下に振れる。他の先進諸国にはない日本特有の現象である。
 能力ある女性の離職は貴重な人材を失うことを意味する。企業側もそれをかみしめてもらいたい。