<社説>沖縄キャンプ 官民挙げ招致に取り組もう


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 あらゆるスポーツの合宿やイベントを招致し、地域経済の活性化を図る「スポーツコミッション」の沖縄モデルを確立したい。

 プロ野球キャンプが一斉に始まった。県内で阪神(宜野座村)、中日(北谷町)、DeNA(宜野湾市)、ヤクルト(浦添市)、ロッテ(石垣市)、楽天(久米島町)、日本ハム2軍(国頭村)がトレーニングを始めた。
 今月中旬からは巨人(那覇市)、日本ハム1軍(名護市)、広島(沖縄市)も沖縄に入る。球春の到来を歓迎し、キャンプが滞りなく行われるよう願いたい。
 昨季14年ぶりにセ・リーグを制覇したヤクルトや新監督が就任した巨人や阪神、DeNA、楽天など、ことしも話題が豊富だ。地元選手の動向からも目が離せない。
 りゅうぎん総合研究所によると2015年沖縄キャンプの経済効果は88億円に上る。県内外からの観客の飲食・宿泊費や土産・グッズ購入費をはじめ、地域経済への効果は着実に拡大している。
 ことしはサッカーのトップチームも続々集結している。県内初キャンプとなる浦和、大宮などJリーグ17チームと、なでしこリーグ2チーム、女子日本代表、U-23日本代表など沖縄キャンプは過去最多の21チームに上った。芝生管理など受け入れ態勢整備に向けた地道な努力が実を結んだ結果だろう。
 スポーツキャンプは、メディアを通して沖縄が幅広く紹介されるというPR効果も計り知れない。憧れのプロ選手を間近で見られる子どもたちにとっては大きな刺激にもなる。競技力向上にもつながるものと期待されている。
 しかし課題もある。プロ野球オリックスは23年続けた宮古島キャンプから完全撤退した。野球場の老朽化などが理由とされた。他球団に先駆けて1979年から沖縄キャンプを続ける日本ハムは、球場が老朽化した名護でのキャンプ期間をことし短縮している。
 スポーツキャンプ誘致には全国がしのぎを削っている。施設整備などの要望を的確に把握し、迅速に対応できるような体制づくりを再構築したい。
 県内でのスポーツ合宿は陸上などその他の競技にも広がっている。韓国プロ野球のキャンプが定着したように、さらに海外に目を向けた活動も必要だろう。国内外から幅広く受け入れが可能なスポーツ合宿のメッカを目指し、官民挙げてさらに取り組みたい。