<社説>台湾地震 復興を力強く支援したい

 6日未明の台湾南部の地震で高層住宅などが倒壊した。8日昼時点で死者は37人に達し、負傷者は500人を超えた。犠牲者の冥福を祈りたい。

 今も約120人が倒壊した建物に取り残されている。災害時の人命救助のめどは72時間とされる。時間がない。一刻も早い救出が必要だ。関係当局の尽力を願う。
 今回の地震のメカニズムについて専門家の見解は分かれる。活断層が動いたと見る人もいれば、プレート境界地震の可能性を挙げる人もいる。中高層の建物が揺れやすい長周期の波だったとの推測も出ている。
 だが、被害は天災でなく明らかに人災であろう。地震の規模はマグニチュード6・4にとどまる。その規模で高層建築が横倒しになるのは通常の構造なら考えにくい。
 人的被害は台南市永康区の高層集合住宅一つに集中している。死者のほとんどはそこだ。周辺の建物に目立った損壊はなく、この建物の特異性は際立っている。
 この建物の建築を手掛けた業者は施工当時、経営危機にあり、完工を急いでいたと報じられている。倒壊した建物の壁の中からは一斗缶が規則正しく並んでいるのが見つかった。発泡スチロールとみられる白い塊もあった。コンクリートや鉄筋などがあるべき部分であり、人為的に埋めた可能性が濃厚だ。資材費を浮かせるのが狙いだったことを強く疑わせる。
 だとすれば、もはや犯罪だ。手抜きにも程がある。捜査当局は関係業者をきちんと取り調べ、建築過程の全容と責任を解明すべきだ。
 地元の里長(日本の町長に相当)は、この建物の施工に問題があったのは地元では有名な話と証言している。水漏れが頻発し、エレベーターもたびたび故障していた。そうであれば倒壊の危険性は自明だったはずだ。行政当局は知らなかったのだろうか。住民に対し、事前に強く注意喚起できなかったことが悔やまれる。
 とはいえ、今は支援を急ぎたい。東日本大震災の際、台湾からは物心両面で絶大な支援が寄せられた。義援金などの支援額は各国・地域の中でも最大級で、1人当たりでは突出していた。救援隊も直後に現地入りするなど、人的支援も厚かった。そのことを忘れまい。
 今度はこちらが支援する番だ。とりわけ沖縄とは縁の深い隣人である。復興を力強く支援したい。