<社説>子ども医療費助成 貧困世帯対策の拡充必要だ

 生活困窮世帯の子どもたちに対する医療支援をさらに強化する方向で議論を続けてもらいたい。

 県は新年度から市町村と連携し、経済的事情で医療費の一時負担が困難な世帯を対象にした子ども医療費の貸付制度の導入を目指している。自己負担分を窓口で立て替える必要性をなくす制度だ。
 現在の子ども医療費助成制度は医療機関窓口でいったん立て替え払いをする必要がある。給付申請を受けて市町村が支払い分を口座に振り込み、負担を無料化している。だが一時的な支払いも困難な世帯で、受診を控える恐れが指摘されていた。
 県は「子どもの受診を我慢させないようにしたい」と制度の目的を説明している。貧困世帯の負担を軽減し、支援を強化しようという取り組みをまずは評価したい。
 新たな制度は、利用を希望する保護者が市町村で資格証を受け取り、診察時に窓口で提示すれば立て替えが猶予される。保護者が後日、市町村から医療費相当分を借り、後払いする仕組みを想定している。対象世帯に制度を広く周知することが大きな課題となろう。
 市町村が利用者に貸し付けた医療費については、県と市町村が折半する「子ども医療費助成制度」から充当されるため、利用者に実際の負担は生じない。ただこの制度では利用者が受診のたび市町村に足を運ぶ必要がある。制度利用が十分に進むのか、疑問が拭えない部分もある。
 県外では、市町村が医療機関に医療費を直接振り込み、利用者の窓口負担を無料化する「現物給付」方式での助成が主流だが、沖縄ではゼロだという。国民健康保険(国保)会計が赤字の市町村が現物給付をすると、国が国庫負担金を減らすペナルティーを科すためだが、釈然としない。
 少なくとも、子どもの貧困対策としての医療費助成と国保財政の改善は分けて議論すべきだ。県は先に素案をまとめた子どもの貧困対策推進計画で、子どもの貧困を「県において克服すべき最重要課題」と位置付けた。困窮世帯向けの医療費助成の強化へ、市町村と連携して国と早急に協議してもらいたい。
 当面は新制度の利用が進むよう各方面に働き掛けることが求められる。医療費助成の対象年齢は市町村ごとに異なっている。困窮世帯の実態に即した支援の在り方を今後も広く議論してほしい。