<社説>困窮妊婦支援 子育てセンターと連携を

 県立北部病院は、受診した妊婦全員の生活困窮度や子育て環境を聞き取り、支援や配慮が必要な妊婦を漏れなく把握するチェックシステムを4月にも開始する。

 県内の医療機関で生活困窮度の聞き取りを体系的に行うのは初めてだという。先駆的な取り組みを歓迎したい。
 県は「子どもの貧困対策推進計画(仮称)」の素案に、妊娠から出産、子育てまで切れ目なく相談に応じる「子育て世代包括支援センター」の設置促進を盛り込んだ。同センターの設置を急ぎ、医療機関との連携を密にしたい。
 国も今国会で改正を目指す児童福祉関連法案に「子育て世代包括支援センター」の設置を盛り込み法的に支援すべきだ。
 県立北部病院が聞き取るのは、母子手帳の交付時期や母親の精神状態、パートナーの状況、支援者の有無、きょうだいの養育や検診受診状況など。チェックシートを作って聞き取り、行政の保健師とも連携して配慮が必要な情報を共有する。必要な場合は支援者会議につなぎ、経済的に困窮していれば、入院費やおむつ代を公費負担する助産制度や児童扶養手当の紹介、孤立していれば子育て支援事業の紹介など、出産前後にわたり寄り添えるよう地域と連携する。
 日本は妊婦・乳幼児健診、乳児訪問、両親学級など個々の支援はあるが、母親らを継続して見守る仕組みにはなっていない。児童相談所との連携不足から虐待につながるケースもある。
 一方、フィンランドには「ネウボラ」という制度がある。現地語で「アドバイスの場」という意味だ。健康診断や栄養指導を徹底し、妊婦や乳児の死亡率を下げるため、1944年に制度化された。保健師や助産師が継続的に支援し、男性の育児参加にも力を入れている。
 2014年から埼玉県和光市は「わこう版ネウボラ」を導入し、市内4カ所の拠点にコーディネーターを配置した。母子手帳の交付時から親と対面し、仕事との両立など各世帯に応じたケアプランを作っている。大阪府は11年に「にんしんSOS」を府立母子保健総合医療センター内に設けている。家族や友人などに打ち明けられない女性らから電話やメールで相談が寄せられる。
 今回の県立北部病院の取り組みは国内外の先進例に通じる。全県に拡大することを期待したい。



琉球新報