<社説>那覇に県立特支校 「共生社会」形成の契機に

 那覇市に県立特別支援学校が2021年度にも開校する。県特別支援学校PTA協議会の10年に及ぶ設置に向けた取り組みが結実したことを喜びたい。

 那覇市内には現在、知的障がいのある児童生徒が通う特支校がなく、約300人が市外の4校で学んでいる。多くの児童生徒が通学に1時間以上かかるなど負担は大きい。保護者が送迎しなければならないケースもある。
 弊害はそれだけではない。市外に通学しているため、地域の同世代の子や住民と交流する機会が少なくなっている。このままでは障がいのある人とない人の断絶を生みかねない。那覇市内の児童生徒を受け入れたことで、過密化が進んでいる特支校もある。
 普通校でこのような問題があったならば、大きな社会問題になっているだろう。開校決定まで10年を要したのである。障がいのある児童生徒の教育問題について、社会的な関心が低かったことは否めない。
 ともあれ、県は18年度から建設を始めて21年度の開校を目指すとしており、通学問題などを解決するめどが付いたことを歓迎したい。
 新設する特支校は、知的障がいと肢体不自由の小中高校生計200~300人規模を想定している。県は16年度中に受け入れ人数などを正式に決めるが、その際には現状ではなく、将来を見据えた学校づくりを望みたい。
 開校はあくまでもさまざまな問題解決に向けた一歩にすぎない。開校決定を、特別支援教育の充実を図る契機にしなければならない。教育現場では障がいのある児童生徒一人一人に合った教育を把握し、それに沿った適切な教育を行うための態勢づくりがまず求められる。
 琉大の韓昌完(ハンチャンワン)准教授によると、特支校の教諭で専門免許を持つ人は7割にとどまっている。早急な対応が必要だ。
 特支校が開校しても、障がいのある児童生徒が普通校から排除されることがあってはならない。障がいの有無にかかわらず共に学ぶ「インクルーシブ教育」を強力に推進することも求められる。
 インクルーシブ教育が成果を上げれば、障がい者の社会参加を保障し、障がいのある人とない人がお互いを認め尊重し合う「共生社会」形成へと大きく前進する。その先進県を目指したい。



琉球新報