<社説>普天間運用停止 所属機分散には理がある

 沖縄の米軍基地をめぐる政府のウソ、方便、その場しのぎは枚挙にいとまがない。「普天間飛行場の5年内運用停止」もその一つだ。

 仲井真弘多前知事が辺野古埋め立てを認める条件として求めたのに対し、安倍晋三首相は「努力を十二分にする」と述べた。何の具体策も示さないままだったが、仲井真氏は「首相が言ったことが担保だ」と述べた。
 だが首相がその後、日米首脳会談で運用停止を自らの意思として要求したためしはない。岸田文雄外相が米国務長官に「沖縄側が求めている」と、いわばひとごとのように「伝言」しただけだ。
 いかに仲井真氏の弁が、公約破りに対する空疎なつじつま合わせだったとしても、「できることは全てやる」と大見えを切った以上、首相は「できること」をすべきだ。
 その意味でこれはその誠実性を試す踏み絵となろう。安慶田光男副知事は普天間基地所属機を全国に分散することで「航空機が飛ばない状態をつくる」よう求めた。
 普天間を辺野古に移設しようとすれば工事に10年はかかる。だからあと3年に迫った運用停止の期限に間に合わせるなら、辺野古移設と切り離して作業する以外ない。論理的に考えればそうなる。
 「飛行機が飛ばない状態」にするためには、普天間の無条件閉鎖か所属機の国外移転、もしくは県外移転、この三つしかない。3年以内という条件を考えれば、現実的には安慶田氏の言う通り、所属機の全国分散しかあるまい。
 2010年、県外移設を阻む理由として政府は突然「米軍の基準で演習場から65カイリ(約120キロ)以内にヘリ部隊がないといけない」と言い出した。
 だが、少し考えればこんな基準があるはずないのはすぐ分かる。海兵隊が山梨や岐阜から沖縄に移ってきたのは1950年代だが、今、普天間にいる海兵航空団が山口の岩国基地から沖縄に来たのは76年だ。その間、演習する部隊とヘリ部隊は沖縄と本土で別々に存在していたのである。県外移転できない理由はない。
 あるとすれば、沖縄の民意は踏みにじるが、本土の民意は大切にするという二重基準だけである。
 そう考えれば全国分散には理がある。例えば3年後から7年、全国に分散する。最終期限までは10年。その間に在沖海兵隊の本国撤退か県外移設を日米間で徹底交渉する。そんな議論があっていい。