<社説>パーントゥを申請 世界的文化遺産を誇りたい

 全国に知られる「宮古島のパーントゥ」が世界的な文化遺産として登録される可能性が高まった。

 国の文化審議会は、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産候補として、神の使いに仮装した住民が集落を巡り、厄払いや悪霊払いをする「宮古島のパーントゥ」などを3月末までに申請することを決めた。
 2009年に登録済みの「甑(こしき)島のトシドン」(鹿児島県)に、パーントゥや「男鹿のナマハゲ」(秋田県)など国の重要無形民俗文化財になっている7県の行事を追加申請する。
 「来訪神行事」として一括登録を求め、早ければ17年11月ごろには審査される見通しだ。登録されれば、県内からは10年の組踊に続くものとなる。
 「異形の神」が病や厄払いをする伝統行事は世界各地にあるが、パーントゥが日本を代表する「来訪神」に位置付けられることになる。登録申請を誇り、評価したい。
 「宮古島のパーントゥ」は宮古島市平良島尻の「パーントゥプナハ」と同市上野野原の「サティパロウ(里払い)」を総称する。
 宮古島の風土が守り育んできたパーントゥの文化的価値が一層重んじられた。両地域は喜びに沸くとともに地域文化への認識を深め、継承への決意を強めている。
 本登録に向け、関係機関の精力的な取り組みを求めるとともに、地元での継承の機運が一層高まることを望みたい。
 パーントゥは木製の仮面を着けた来訪神が集落を回って厄払いと豊饒(ほうじょう)を祈るが、島尻と野原の違いが味わい深い。島尻は全身に泥をまとった3体のパーントゥが3カ所の本家を巡り、住民や新築の家などに泥を塗って歩く。野原は仮面を着けた児童を先頭に子どもたちが続き、女性らが「ホーイホイ」と声を上げ、練り歩く。泥は使わずに円を描いて回り、厄を払う。
 世界遺産が有形文化遺産だけを保護対象としているのに対し、ユネスコは人間の優れた表現なども世界無形文化遺産として保護している。03年に保護条約が採択され、国際的な保護の枠組みが確立した。伝統芸能や祭礼行事などが対象となる。
 島尻は泥を付ける行為をめぐる観光客などとのトラブル防止に尽力し、地域を挙げた行事が次代を担う世代を育んでいる。登録申請を「地域を愛し、誇る」意識をさらに高める契機にしてほしい。



琉球新報