<社説>やんばる国立公園 貴重な生態系保全進めよう

 環境省は沖縄本島北部の国頭、東、大宜味3村にまたがる「やんばる地域」の陸・海域の計1万7300ヘクタールを国立公園に指定する方針を決定した。指定されれば県内の国立公園は「西表石垣」「慶良間諸島」に続く3カ所目となる。指定によって、やんばるの貴重な生態系を将来に継承する足掛かりとなる。大いに歓迎したい。

 やんばる地域は政府が2018年の世界自然遺産登録を目指す「奄美・琉球」の対象に含まれており、国立公園化は遺産登録に向けた保護強化策の一環だ。ヤンバルクイナやノグチゲラなど多数の固有種が生息している。特定地域にだけ取り残された種の遺存固有種が分布し、独自の進化が進んでいる。
 国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストに掲載されている国際的希少種の生息・生育地となっており、世界的に見ても生物多様性の保全上、極めて重要な地域だ。
 一方でやんばるの生態系は脅かされてきた。やんばるの森のごく一部にしか生息していない日本最大の甲虫で国天然記念物のヤンバルテナガコガネは違法な捕獲が横行していた。このため環境省や北部地域の自治体などで構成する密猟防止協議会がパトロールを実施して密猟を防いでいる。
 ヤンバルクイナは交通事故の犠牲になったり、野ネコや外来生物のマングースによって捕食されたりして個体数が減少傾向にあった。推定個体数は1985年度が1800羽だったが、2005年度には700羽前後まで激減した。
 しかし07~10年度までは千羽程度で推移し、11年度は1640羽まで回復している。これはマングースの防除事業など関係者の取り組みや地域ぐるみの保護活動など、回復のための努力の積み重ねが功を奏しているからだ。
 一方、米軍北部訓練場は指定区域に含まれていない。日米特別行動委員会最終報告で過半(約3987ヘクタール)の返還が決まっている。しかし東村などに垂直離着陸輸送機MV22オスプレイなどが飛来する六つのヘリ着陸帯の新設が条件だ。米軍ヘリの飛行は生態系に悪影響しか及ぼさない。無条件返還が筋だ。
 国立公園の特別保護地区内では全ての動植物の捕獲採取が自然公園法で禁止される。国立公園化で規制を強化し、そして多くの人がやんばるに目を向け、生態系保全につなげたい。



琉球新報