<社説>震災5年フォーラム 「肝苦さん」の心発揮しよう

 未曽有の犠牲者を出した東日本大震災と東京電力福島第1原発事故からもうすぐ5年を迎える。被災地の現状を共有し、沖縄から支援の在り方を探る「フォーラム3・11 今できること」が催された。

 大震災と原発事故を決して忘れず、人の痛みをわが事として受け止めて寄り添う沖縄の「肝苦(ちむぐり)さん」の心を発揮する必要性を再確認する場となった。
 エネルギーと安全保障の負担が1地域に押し付けられる点で福島と沖縄を重ね、地方から中央に異議を申し立てる重要性を説く発言も相次いだ。賛同を表したい。
 フォーラムは、社会基盤を破壊し尽くした大津波と、愛する故郷に住めない人を生み出した過酷な原発事故に共通する重要課題が、被災者の「心の復興」であることを照らし出した。
 沖縄から福島に移った精神科医の蟻塚亮二氏は地域共同体やなりわいを失った原発事故被災者の診察を踏まえ、「国や東電が原発事故の責任を認めず、喪失から再起を図る住民の心の傷が回復しない」と厳しく批判した。避難住民を「日本の難民」と位置付けた報告が痛切に響いた。被災者の心をケアする施策充実が急務である。
 5年間の集中復興期間が終わる2016年度から多くの策が打ち切りとなる問題は、被災者に重くのしかかっている。
 被災地の実情を発信し続ける寺島英弥氏(河北新報編集委員)は「仮設住宅を出る住民は『生き直し』の厳しい選択を迫られるが、政府は幕引きにかじを切っている。おかしなことにはおかしいと言い続けねばならない」と訴えた。
 福島などからの避難者でつくる沖縄じゃんがら会会長の桜井野亜さんは県内の公的支援縮小への不安に触れつつ、「精神的な不安が生活に影響する避難者に寄り添ってほしい」と望んだ。交流イベントなどを通し、被災の教訓を学び生かすうねりを県内で広げたい。
 「被災地は『風評被害』と『風化』の二つの風と闘っている。自分で見聞きすることで真実を確認してほしい」。福島県いわき市で被災者支援に取り組む里見喜生氏は被災地訪問を呼び掛け、「自分ごと」の意識が風化に歯止めをかけると強調した。
 岩手県宮古市の復興事業に携わる高橋晃氏は被災地に向き合う姿勢として「記録、記憶、継続」を提唱した。沖縄から「肝心(ちむぐくる)」を発揮する土台として刻みたい。