<社説>学校給食費の地域差 国が無料化し是正すべきだ


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 住む市町村によって学校給食費の徴収額が違う。その上、助成を受けられたり受けられなかったりとあっては、不公平のそしりを免れない。

 県内自治体のうち給食費を徴収する36市町村の給食費は小学校で2900~4300円、中学校では3400~4800円と月に1400円もの開きがあることが琉球新報の調べで分かった。
 給食費を無料とする5町村と、徴収する市町村では年間最大5万2800円もの差が生じている。徴収市町村間でも最大1万5400円の差がある。
 複数の子を持つ世帯の負担感は想像に難くない。育ち盛りの子どもたちの「食」を守り、充実させる早急な対応が求められている。国の責任で給食費を無料化し、同一県内の地域差を是正すべきだ。
 それには給食費を「保護者の負担」とし、市町村の助成制度を国が一部補助できるとする学校給食法の見直しが必要だ。「保護者の負担」を削除し「国の全額負担」に改めるよう求めたい。安倍政権は子ども・子育て支援の強化を打ち出している。政権主導で早急に改定に取り組む責任がある。
 助成制度を設ける県内自治体は18市町村。うち5市町村が滞納世帯を「補助の対象外」とする。給食費の補助は「保護者の負担軽減」であり「困窮世帯対策」ではないことなどを理由に挙げている。
 それでいいのだろうか。沖縄の子どもの貧困率は29・9%と危機的状況にあり、滞納世帯を補助対象から一律に除外することは疑問だ。佐久間正夫琉大教授が指摘するように「払わない」のか「払えない」のかを正確に把握した上で対応すべきである。
 支払いが困難な場合は就学援助制度があるが、周知されているとは言い難い。県の調査では制度周知に向けた書類を配布している市町村の割合は毎年度の進級時46・3%、入学時36・6%でしかない。配布しても書類が保護者に届いていないこともあろう。
 就学援助制度の周知に強力に取り組むことは当然だ。併せて給食費負担の抜本見直しが必要だ。
 那覇市は食材費の高騰を理由に4月から給食費を月200円値上げし、小学校4500円、中学校5千円に改定する。さらに19市町村が2017年度以降の値上げを検討している。国は給食費無料化を断行すべき時に来ている。