<社説>知事の権限行使 堂々と県民の意思体現を

 当然の判断である。翁長雄志知事は今の姿勢を貫いてもらいたい。

 辺野古埋め立て承認取り消しをめぐる訴訟での国との和解に関連して、翁長知事は県議会で、今後予想される承認取り消し訴訟に敗訴しても、新基地反対の姿勢を堅持する考えを示した。
 和解の際、知事は「行政として判決に従うのは当然だ」と述べた。出直し後に敗訴すれば新基地を容認する、と誤解した向きもある。だがその際、知事は「基地を造らせないことはこれからも信念を持ってやっていく」とも述べている。だから今回の表明は、和解時の意思を再び表明したにすぎないのであろう。
 今回の和解で知事の埋め立て承認取り消しが再び効力を持つことになった。これに対し国は是正の指示を出した。今後は県が国地方係争処理委員会に審査を申し出る。同委員会の判断が下ると、是正指示の取り消し訴訟が始まる。
 仮にその是正指示取り消し訴訟で判決が出ても、それで終わりではない。辺野古新基地の埋め立てが国の当初の申請通りに進まないのは明らかだ。今後、設計変更が出てくるが、そのたびに知事の承認が必要となる。設計変更を知事が承認しなければ工事はできない。
 和解勧告文には「被告と原告は(出直し後の裁判で)直ちに判決の結果に従い、それに沿った手続きを実施する」とあるだけだ。だから知事の「判決に従う」とは、是正指示取り消し訴訟のみについてだと解される。その後の設計変更などまでは拘束されない。勧告文を素直に読めばそうなる。
 ただ、注意すべきは和解条項の9項だ。「是正指示取り消し訴訟の主文と理由の趣旨に沿った手続きを実施し、その後も同趣旨に従って互いに協力して誠実に対応する」とある。県が敗訴した場合、国はこの和解条項を盾に取ると予想される。「判決の趣旨に従ったその後の協力」を約束したではないか、と詰め寄ってくるに違いない。
 だが承認以降の設計変更などは「法律的には別の話」である。県は堂々と県民の意思を体現すればよい。
 和解勧告文で「オールジャパンで最善の解決策を合意」するのが「本来あるべき姿」と指摘したのは重要だ。県外移設も検討すべきだと勧告したようにも取れる。地方自治法改正の精神に反する状況との指摘も重い。国はその勧告をこそ謙虚に受け止めてもらいたい。



琉球新報