<社説>米兵女性暴行 兵員削減しかない 許し難い蛮行繰り返すな

 沖縄の米軍基地の存在は人権侵害と直結していることがあらためて照らし出された。この地に住み、あるいは観光に訪れる女性の尊厳を踏みにじる許し難い蛮行である。

 後を絶たない在沖米兵による女性暴行に強い憤りを表明する。
 日米安保の名の下に二万数千人の兵士が沖縄に駐留し続ける限り、自身を制御できずに弱い立場の女性を襲う兵士が紛れ込むのだ。
 在沖米兵による性被害はもはや統計学的に防げない。
 大規模な在沖基地縮小、米兵の大幅な削減以外には女性の人権を守る術(すべ)はないのではないか。

「綱紀粛正」は空証文

 那覇署は、女性が寝ている間に性的暴行を加えたとして、準強姦(ごうかん)の容疑でキャンプ・シュワブ基地所属の米海軍1等兵を逮捕した。
 全く面識のない被害者がホテルの廊下で寝込んでいたところ、酒に酔った容疑者が自室に連れ込んで卑劣な犯行に及んだとみられる。安全が約束されたはずの宿泊施設でも安心して休めない。観光で訪れた沖縄の地で見ず知らずの米兵に襲われた被害者の心中は察するに余りある。
 観光客が被害に遭った今回の事件は好調が続く沖縄観光に影を落としかねない。県内経済界のリーダーは一斉に事件を強く非難した上で、沖縄が危険な観光地と見なされることを危惧している。
 私たちはこれまでも、米軍基地の存在は沖縄の経済振興の最大の阻害要因と主張してきた。観光への風評被害さえ懸念される今回の事件は、それを間接的に証明していよう。
 凶行の再発を防げなかった日米両政府の責任は大きい。事件のたびに繰り返されてきた「綱紀粛正」と「再発防止」はもはや空証文に等しいのではないか。在沖米兵は沖縄社会にとって異物であり、「招かれざる客」であることを自ら証明したと言えるだろう。
 2014年12月、在日米軍は沖縄の4軍の軍人・軍属の飲酒に関する制限を大幅に緩和した。午前0時から5時までを除き飲酒場所や量の制限がなくなった。その後、米兵が容疑者となる飲酒運転事件などが頻発し、われわれは綱紀の緩みを再三指摘してきた。
 今回の事件を起こした容疑者と同僚の兵士数人は本来であれば、飲酒が禁じられた時間帯に酒に酔ってホテルに宿泊していた。禁止時間帯に基地外で酒を飲み、組織の監視の目を逃れていたのだ。在沖米軍のたがの緩みは明らかだ。

「人権侵害」を証明

 昨年9月、国連人権理事会で演説した翁長雄志知事は米軍基地の過重負担をめぐり、こう訴えた。「沖縄の人々は自己決定権や人権をないがしろにされている」
 これに対し、菅義偉官房長官は「人権や基本的自由の保護などを主な任務とする人権理事会で、沖縄の米軍基地問題が扱われたことに強い違和感がある」と述べ、知事演説を場違いと批判した。
 あれから半年もたたない中、最たる人権侵害である女性暴行事件を沖縄の米兵が起こした。国際社会に基地の島・OKINAWAの現実を発信した知事の国連演説の内容は、沖縄戦後史が証明する紛れもない真実である。
 それを菅氏はどう考えるのか。米側に遺憾の意を示すだけでなく、人権侵害を絶つ抜本的対応策を示すことが基地負担軽減相を兼務する菅氏の第一の役割だろう。
 それは米軍普天間飛行場の移設を伴う名護市辺野古への新基地建設をやめることと同義だ。
 今回の事件で沸き起こった県民の怒りは、安倍政権が沖縄の民意を組み敷き、知事の権限を剥奪する法的手段を取ってまで強行する辺野古新基地問題への憤りと重なる。県民は強権的な新基地建設で負ったかさぶたを鋭利な刃物で剥がされるような痛みを感じている。
 日米両政府の対応には新基地建設の障害となる米兵事件への反発を早く収拾したいという底意が透けて見える。それでは沖縄の不条理を改めることはできまい。
英文へ→Editorial: Nothing short of reducing US stationing in Okinawa will prevent repeated sexual assaults