<社説>公式戦で現金授受 球界は倫理観を取り戻せ

 プロ野球巨人の選手が公式戦の勝敗に絡み、現金をやりとりしていたことが分かった。スポーツ本来の価値や魅力を損なわせる行為であり、許し難い。

 昨秋の日本野球機構(NPB)の調査で判明していたが、野球協約違反ではないとしてNPB、巨人とも公表していなかった。野球賭博問題の徹底究明と再発防止を求めるファンに対する裏切りである。
 そもそもNPBや巨人に「うみ」を出し切る考えはなかったのではないかと疑わざるを得ない。
 巨人によると、試合前に投手と野手に分かれて組む円陣で「声出し」を担当した選手が、勝ち試合の後で1人から5千円ずつ受け取っていた。負け試合では「声出し」担当選手が1人に千円ずつを支払っていた。
 1軍登録メンバーは投手12人、野手16人程度であることが多い。現金のやりとりには一部の選手を除き参加していたという。勝ち試合では投手間で約6万円、野手間で約8万円が動くことになる。
 球団はこれを「験かつぎ」と説明している。スポーツ界で験かつぎは珍しいことではない。だが、勝敗に現金を絡ませることは選手としてあるまじき行為である。現金のやりとりを容認する球団の体質が、4選手が野球賭博に関与する事態を招いたのではないか。
 巨人は非公表の理由を「そもそも賭け行為ではない。額も少額。公表するまでもない、というような判断があったのも確か」と説明している。額の問題ではない。勝敗に現金が介在することが問題なのである。1試合で最大14万円がやりとりされたとみられる。1シーズン約140試合あり、その額は数百万円に上る可能性がある。「少額」とすることで、問題を矮小化(わいしょうか)することは許されない。野球賭博につながりかねないとの認識が球団には著しく欠けている。
 巨人は「誰が参加し、参加していなかったのかはまだ明確に分かっていない」としている。昨秋の調査で分かっていたことを放置してきたということだ。
 阪神、西武でも試合前の円陣での「声出し」で、現金のやりとりがあったことが明らかになった。球界は信頼回復に向けて一般常識と懸け離れた体質を徹底的に改善し、倫理観を取り戻す必要がある。選手も社会人としての自覚を持つべきだ。