<社説>貧困対策本格化 県民で取り組みを支えたい

 県内26市町村が2016年度に子どもの貧困対策支援員やスクールソーシャルワーカーなどの支援員を新たに100人以上配置する。さらに「子どもの居場所づくり」の事業を23市町村が始める。子どもの貧困対策の取り組みが本格化することを歓迎したい。

 こうした取り組みを開始する市町村のほとんどは内閣府が16年度に計上した沖縄子供の貧困緊急対策事業10億円を活用している。ことし1月から市町村に事業が説明され、この1~2カ月で一斉にメニューに加えられた。
 同事業は深刻な県内の子どもの貧困対策という緊急性、重要性から早急に準備が進められたものだ。しかし琉球新報が実施した市町村アンケートでは自治体から「一時的なブームに終わらせないで」との意見が上がっている。緊急対策として一過性のものにせず、長期的な対策を進める必要がある。
 100人を超える支援員が新たに配置されることは歓迎すべきだが、市町村によって人数にばらつきがあるほか、人材確保や技術向上などさまざまな課題も浮かぶ。
 スクールソーシャルワーカーの採用で、自治体の中には社会福祉士や教員免許などの有資格者を条件にしているところもある。こうした条件を付けた場合、小規模町村だと対象となる人材を確保することが困難になる。このため子ども支援の経験者などに間口を広げ、さらに研修制度の実施を求める声が自治体から出ている。政府はスクールソーシャルワーカーを19年度までに全ての中学校区に1人配置することを目指している。財政、制度面などで支援し、自治体によって格差が出ないようにしてほしい。
 県ひとり親世帯等実態調査で、就労していない母子世帯の母親の40・7%が自身の病気や障がいを理由に働けないと回答した。自己責任では解決できない深刻な実態がある。それなのに宮古島市議会で先日、市議の一人が子どもの貧困対策について「やり過ぎだ」と批判した。「子どもは貧困でこそ向上心を持って進歩する。親がどうにかするべきだ」と述べた。現状認識を踏まえない暴言と言わざるを得ない。
 県が素案をまとめた「子どもの貧困対策推進計画」では「子どもの貧困は自己責任論ではなく、社会全体の問題」と位置付けた。自治体の事業本格始動を機に、県民全体で取り組みを支えたい。



琉球新報