<社説>遺骨収集法成立 DNA鑑定さらに拡大を

 沖縄戦などの戦没者の遺骨収集を「国の責務」として、収集を加速させる戦没者遺骨収集推進法が衆院本会議で可決、成立した。

 沖縄戦から71年が経過し、遺族の高齢化が進んでいる。毎年遺骨収集を続けてきた県遺族連合会は2015年度の実施を見送った。高齢化した遺族にとってガマ(自然壕)や崖などでの収集が難しくなったからだ。
 国家が戦争を引き起こした以上、遺骨収集が「国の責務」で実施されるのは当然だ。沖縄で収集された遺骨はことし1月末現在で18万7250柱で、いまだ約850柱が残っている。県の統計ではさらに多くの未収集遺骨があるとされている。
 法律は今後、国が遺骨収容を推進するための基本計画を策定し、関係国との協議や鑑定体制の整備を進めることを定めている。高齢化した遺族の元へ1柱でも多くの遺骨を届けるために作業を急いでほしい。
 厚生労働省は従来、遺品がある場合などに限って遺骨のDNA鑑定をしてきた。今後は、対象を拡大し、遺骨と遺族のDNA検体を採り、データベース化して照合する方針を示している。しかし、全ての遺骨から検体を採るわけではない。厚労省は国会審議で、頭蓋骨などが残っている遺骨に限り、歯からDNA検体を採ると説明してきたからだ。
 遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」の具志堅隆松代表によると、遺骨収集の現場から爆発などによってばらばらになった骨が多く見つかるという。厚労省の説明に従うと、そのような骨は除外されることになる。これは非現実的ではないか。韓国では朝鮮戦争の戦没者遺骨の大腿(だいたい)骨からも検体を採っているという。歯だけでなく、手足の骨からもDNAは抽出できる。ばらばらになった骨にもDNA鑑定の対象を拡大すべだ。
 沖縄戦は多くの住民が犠牲になった。兵士の遺族だけでなく、民間の犠牲者の遺族にDNA鑑定への参加を広く呼び掛けたい。
 一方、戦没者遺骨収集推進法は、アジア・太平洋と国内の遺骨収集業務を国が指定する一つの法人が行うと定めている。こと沖縄に関しては既にノウハウを蓄積している県の遺骨収集情報センターと連携するか、センターに任せたほうがいいのではないか。遺族にとって最善の策を検討してほしい。



琉球新報