<社説>民進党結党 「安倍1強」への対決軸示せ


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 政権交代の受け皿となる健全な野党の存在は、政治の活性化に欠かせない。夏の参院選に向けて、現在の「自民1強」体制への有力な対決軸となり得るだろうか。

 民主、維新の両党が合流した「民進党」が船出した。衆参両院を合わせて156人の最大野党となる。その役割は重い。
 「安倍1強」といわれる政治状況が続き、安倍政権は、集団的自衛権の行使容認や安全保障法制など、多くの国民の反対や慎重審議を求める声を無視し、数で押し切る政治手法が際立つ。それを危ぶむ国民は多いはずである。
 民進党には「国民とともに進む」の意が込められている。安倍政権に対抗するためにも国民の声を政策立案に生かすことを忘れてはならない。
 初代代表に就いた岡田克也氏は「政権交代可能な政治を実現するためのラストチャンスだ」と述べた。結党宣言は、民主党政権時代に国民の信頼に応えられなかったことに触れ、「失敗を二度と繰り返さない」と明記した。
 だが、共同通信の世論調査では民進党に「期待しない」が67・8%を占め、「期待する」の26・1%を大きく上回った。
 多くの政権公約を実行できずに国民の信頼を失った民主党への不信感がなお根強く、維新も含めて内紛を繰り返したことへの批判もあろう。それを肝に銘じ、骨太な理念と政策を国民に示す責任を果たすことで信頼を取り戻すべきだ。
 民進党は綱領で「自由、共生、未来への責任」を結党理念に据えた。「生活者、納税者、消費者、働く者」の立場を重んじるとし、「既得権や癒着構造と闘う」とうたっている。
 大企業優遇に映り、格差社会を助長したとの批判もある安倍政権、自民党との違いを前面に打ち出した格好だ。衆院との同日選もささやかれる夏の参院選は、最大野党の存在意義が最初に問われる。
 沖縄社会にとって最大懸案である名護市辺野古への新基地建設問題に、民進党はどう向き合うのか。
 民主党は辺野古移設推進を踏襲しつつ、「(沖縄の民意に反した)工事は無期限に中止すべきだ」(枝野幸男幹事長)と安倍政権を批判してきた。
 あいまいさを残さず、対決軸を鮮明にするためにも辺野古移設反対を明確にすべきではないか。