<社説>安保法施行 国民運動で廃止勝ち取ろう

 集団的自衛権の行使を認め、自衛隊の海外活動を日本周辺以外にまで広げた安全保障関連法が施行された。集団的自衛権の行使に法的効力が生まれたことで、日本は戦争のできる国へと大きく変貌を遂げたことになる。

 他国の戦争に巻き込まれる危険性が常態化する社会は確実にやってくる。だが戦後70年余守り続けた「非戦の誓い」を捨ててはならない。将来世代に対する責任を果たすためにも広範な国民運動を展開し、安保法の廃止を勝ち取らねばならない。
 安倍晋三首相は、安保法制を国民の命と平和な暮らしを守るために「ベストな法制だ」と述べている。果たしてそうか。
 米国など「密接な関係にある他国」への武力攻撃に日本が反撃すれば、日本は当該国の敵国となる。攻撃される危険性が高まり、国民は危険にさらされる。自衛隊員に戦死者が出たり、自衛隊員が他国の兵士や罪のない国民を殺したりすることも十分あり得る。これが安保法の本質である。
 首相は安保法成立によって日米同盟が強化され、「抑止力が高まる」と説明してきた。だが法成立後も北朝鮮はミサイルとみられる飛翔体の発射を繰り返すなど、軍事挑発を続けている。抑止力が高まったとはとても言える状況にはない。
 安保法の施行日を決定した際の閣議で、首相は「重要なのは広範な国民の支持だ」と述べた。だが広範な支持は得られていない。
 共同通信社が26、27の両日に実施した全国電話世論調査で、安保法を「評価しない」は49・9%、「評価する」は39・0%である。「戦争法」に対する国民の強い危機感の表れとみるべきだ。
 武力攻撃による紛争解決は有効な手段ではない。欧米が軍事介入したシリアの内戦は終わりが見えない。テロ組織に対する武力攻撃も根本的な解決に至っていない。それどころか、フランスやベルギーでの過激派組織「イスラム国」による連続爆破テロに見られるように、報復の連鎖しか生み出さない。
 武力攻撃は多くの無辜(むこ)の民の死を伴う。その犠牲の上に成り立つ平和を真の平和と認めることはできない。戦争放棄をうたった憲法の理念に基づき、日本は対話による友好関係の構築、平和を目指すべきだ。国民もその原点に立ち返る時である。