<社説>空調補助廃止 学ぶ環境を保障せよ


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 沖縄本島の土地は18・2%を米軍基地が占める。中部だけに限れば23・1%にもなる。これだけの土地を米軍が使っているのだから、県民の生活に影響があるのは当然だ。むしろ基地の影響を受けない場所はないくらいだ。

 嘉手納町や宜野湾市をはじめとした中部では航空機の爆音、訓練場がある北部地域では演習に伴う騒音が日常的に起きている。
 そうした地域の学校では防音工事が必須であり、空調(エアコン)を使わなければ授業が成り立たない。これまで沖縄防衛局は空調にかかる電気使用料の9割と基本料金全額を補助してきたが、2016年度以降の設計分からは廃止すると県教育庁に通知した。
 琉球新報の取材では、県立の高校と特別支援学校、市町村立の保育所、幼稚園、小中学校で、少なくとも81校・施設が廃止対象となることが分かっている。
 子どもたちの学ぶ環境が後退してはならない。防衛局は方針の撤回を含め、再検討してもらいたい。何よりも最優先すべきは、静かな学習環境を確保することだ。
 県教育庁によると、県立学校16校だけで15年度の補助額は7300万円に上る。市町村立学校を含めれば、補助額は膨大になるだろう。これを丸々、県や市町村が負担するとなれば、財政面への打撃は大きい。
 防衛局が作成した学校の防音工事に関するパンフレットを見ると、補助の目的は「在日米軍の飛行場等の運用に伴う航空機による騒音の障害を防止又は軽減する」ことにある。自治体や学校に解決できない航空機騒音は国の責任で対策を取るのが当然だ。防衛局は自らが示した補助の目的をもう一度読み返してほしい。
 防衛局の補助対象はうるささの度合いに応じて、最も高い1級から4級まであり、今回対象外となるのは比較的うるささの度合いが低い3、4級の施設という。
 比較的騒音が少ないからといっても、上空を軍用機が通過すれば、教師の声が聞き取れないほどのうるささになるのは確実だ。騒音回数が少ないからといって対象外とすることは納得できない。
 何よりも防衛局は今回の補助対象見直しについて、関係機関に通知しただけで、明確な説明をしていない。防衛局はまず県民に説明責任を果たすべきだ。