<社説>高齢者4人に1人 少子化問題解決が急務だ


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 2015年の総人口に占める65歳以上の高齢者の割合(高齢化率)は1920年の国勢調査開始以来最高の26・7%となり、初めて高齢者が4人に1人を超えた。全都道府県で高齢者人口が15歳未満人口を初めて上回った。

 13年度社会保障給付費は約111兆円で、毎年1兆円以上膨らんでいる。1965年には現役世代約9人の負担で高齢者1人を支える「胴上げ型」だったが、3人弱で支える「騎馬戦型」となり、2050年には1人で支える「肩車型」が予想されている。
 60年には高齢化率約40%と予測されている。現役世代1人が複数の高齢者を支える事態になれば、支えることは難しい。社会保障制度の破綻は何としても避けねばならない。年金や医療、介護、子育ての財源をどうするのか。国民全体で真剣に考えることが求められる。政府と各自治体は「超少子・超高齢社会」への対応に注力し、実効性ある対策を早急に講じたい。
 高齢化率を低下させ、いびつな人口構成を変えるには少子化問題を解決することが急務だ。
 女性1人が生涯に産む子どもの推定人数を示す合計特殊出生率を見ると、15年は1・46でしかない。2・07を下回ると、人口が減少に向かうとされる。現状は「人口減少社会」だが、このままでは「人口急減社会」になりかねない。
 低出生率の要因の一つは、結婚した夫婦が安心して子育てできる環境にないことがある。保育所の待機児童問題など、子どもを産みたくても産めない環境を改善しなければならない。
 人口の首都圏集中も是正したい。地方から首都圏に人口が流出しているが、東京では子育て世代の女性の多くが保育所入所や求職が難しいことなどから、出生率は1・17と全国で最も低い。政府は今こそ、中央省庁の地方移転によって地方への移住を促すことを真剣に考えるべきだ。
 現役世代の社会保障費負担は今後、さらに重くなることが予想される。
 政府は増え続ける社会保障費の財源として消費税増税を挙げている。だが、消費税は低所得者ほど負担感が増す逆進性があり、社会保障費の財源として適当ではない。
 法人税実効税率の段階的引き下げの見直しや5兆円を超す防衛予算の縮小、税金の無駄遣いの解消、行政改革に取り組み、社会保障費の捻出に知恵を絞るべきだ。