<社説>フレア発射事故 「操作ミス」では済まされぬ


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 「誤射」では済まされない。これほど多発すると、機器の欠陥をも疑わざるを得ない。米軍は直ちに戦闘機の飛行を中止し、原因を究明して公表すべきだ。

 嘉手納基地のF15戦闘機がまたもフレア(照明弾)3発を発射する事故を起こした。「またも」と強調せざるを得ないのは、それほどフレアの事故が相次ぐからだ。
 2000年以降に限っても、02年にF15戦闘機がフレアを落下、空中で燃焼させた。03年にも離陸直後のF15戦闘機がフレア6個を滑走路に落下、燃焼させた。
 06年は3月にF15戦闘機が空中でフレアを発射。米軍は基地上空と言い逃れたが、民間地上空との目撃証言が複数あった。同年8月にもF15戦闘機がフレアを発射。この時は米陸軍貯油施設内の芝生を焦がした。貯油施設への引火や、国道58号沿いのフェンスから20メートルの至近であり、通行車両を巻き込む大惨事の恐れすらあった。
 11年にはAVハリアー機が離陸後にフレアを発射し燃焼させた。そして今回の発射事故だ。多発する事故を列挙するだけで紙幅が尽きそうになるほどだ。
 発射事故のたびに米軍は「パイロットの不注意」と事故原因をパイロットのミスに転嫁し、「基地周辺に危険はなかった」と事故を軽視する態度を示している。
 しかしこれほどの事故多発を、不注意や操作ミスで片付けるわけにはいかない。パイロットの指先が触れるだけでフレアが発射される構造上の問題がありはしないか。誤射を防ぐ安全装置はないのか。あっても機能しないのか。
 操作ミスだとしても、これほどの頻度で多発するのは、練度の低さや、未熟なパイロットに訓練をさせていることに問題がある。事故がこれだけ続くと、もはや人為ミスの言い逃れは通用しない。戦闘機訓練そのものを見直すべきだ。
 「基地の周辺に危険はない」という釈明も通用しない。国道から間近い貯油施設での事故を忘れてはならない。
 米軍は納得いく原因究明と対処策を示す責任がある。事故多発を放置する日本政府の責任も大きい。米軍任せにせず、民間航空機事故の際の事故調査委員会を差し向けるくらいの気概を示すべきだ。
 三沢基地から29機ものF16戦闘機が飛来する異常事態の中でのフレア発射事故である。したい放題、無責任の対応は許されない。