<社説>落雷4人負傷 注意報、雷鳴すぐに避難を


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 落雷により糸満市のビーチ施設内で男性4人が負傷し、1人は意識不明の重体となっている。夏場は落雷や降雨をもたらす雲が発生しやすい。野外の活動は被災を避ける万全の注意が必要だ。

 沖縄本島全域と久米島に雷注意報が発令されてから、わずか3分後に落雷の被災があった。ビーチ管理者は注意報を受け、直ちに遊泳中止、建物への避難をアナウンスしたが、速やかな誘導も間に合わぬ落雷の急襲だった。
 4人は海から離れた駐車場近くの広場で被災した。ビーチには数百人がいただけに、さらに大惨事となる可能性もあった。意識不明の男性は上半身をやけどし衣服が焼けるなど、落雷が直撃した威力のすさまじさを物語っている。
 心肺停止状態の男性にビーチのライフガードが自動体外式除細動器(AED)を用い、急行した消防隊員らの人工蘇生により自力呼吸を取り戻した。速やかで適切な連携プレーで一命を取り留めた。
 糸満市役所によると夏休み前に同ビーチでは職員、消防、警察、ドクターヘリのほか、医療機関などによる救命救助訓練を行った。万一に備える訓練が役立った。
 近くのホテルの高所には避雷針もあったが、雷は広場に落ちた。沖縄気象台は「広場の真ん中や、高い電柱などのそばは危険。建物の中が最も安全。建物がなければ車の中に避難を」と話している。
 建物の中でも電気器具、天井や壁からできるだけ離れること。広場やゴルフ場、砂浜など開けた場所では人に雷が落ちやすい。高所を避け、平地ではできるだけ低い姿勢を保って避難を心掛けたい。
 気象台によると今回の落雷事故は、地面が熱せられて生じた上昇気流で発達した雷雲が原因とみられ、夏場の日差しが強く、風が弱い日に多いという。
 晴れた日でも雷雲が急速に発達することがあり、予測は難しいとされる。
 それだけに上空の雲の発達に気を配ることが大事だ。野外の行楽の場合はあらかじめ天気予報を確認し、雷注意報や雷鳴を聞いたら、早めに避難の行動を取るようにしよう。
 夏場はゲリラ豪雨に見舞われることも多い。民間の気象情報会社が沖縄地方で9月までに昨年の2倍以上を予想している。「黒い雲を見たら大雨を警戒し、河川に近づかない」という注意を払いたい。