<社説>東京五輪で空手実施 沖縄から金メダリストを


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 国際オリンピック委員会(IOC)は、空手など5競技18種目を2020年東京五輪の追加種目として一括承認した。空手は沖縄発祥の武道である。先人から脈々と伝統を受け継ぎ、普及に努力し続けた県内関係者と共に喜びたい。

 空手の競技者、愛好者は世界に6千万人とも1億人とも言われる。世界空手連盟には、最新のまとめで192の国・地域が加盟する。普及度は他の五輪競技でも上位だろう。五輪採用に3度挑戦し、落選したのが不思議なくらいである。
 東京五輪では、演武の出来栄えを競う男女の「形」と、一対一で対戦する男女各3階級の「組手」の計8種目を実施する。日本勢のメダル量産が望める。
 沖縄からメダリストをぜひ誕生させたい。喜友名諒選手(劉衛流龍鳳会)は2014年世界選手権男子形で優勝し、世界空手連盟主催の「空手1プレミアリーグ」でも15年大会まで4連覇中である。東京五輪時は30歳で、演武にはさらに磨きがかかろう。日本代表として金メダルを期待したい。若手も五輪を目指し研鑽(けんさん)を積んでほしい。
 競技会場は五輪憲章の「1都市開催」の原則で、大会組織委員会や世界空手連盟は日本武道館(東京)としている。
 一方で、翁長雄志知事は「沖縄での競技の一部開催」を望んでいる。県議会も14年の12月定例会で、空手の県内開催などを求める意見書を全会一致で可決している。
 野球・ソフトボールは震災からの復興をアピールするため、福島県での一部試合開催が検討され、IOC側も積極的に考える意向を示しているという。空手の県内一部開催も不可能ではない。県を挙げて体制を整え、誘致に取り組んでもらいたい。
 一部開催が実現できない場合でも各国選手の合宿誘致や、来年3月に供用を開始する沖縄空手会館で、東京五輪後にイベントを開催するなどして、各国の選手が本場の空手に触れる機会を設けたい。
 追加種目は開催都市がその都度選ぶため、24年五輪では採用されない可能性もある。
 空手の実施を1大会限りにしてはならない。東京五輪以降も、永続的に競技種目となるよう、世界空手連盟と協力し、国を挙げて空手の魅力発信を続けることが求められる。沖縄としても正式種目化を目指し、取り組む必要がある。