<社説>LGBT支援 誰にも優しい国際観光地に


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 県内企業の中で同性愛者や、生まれつきの性別に違和感を持つトランスジェンダーなど性的少数者(LGBT)を支援する動きが広がっている。

 外国人や障がい者、LGBTなど誰にでも優しい多様性のある取り組みは、観光都市としての沖縄の魅力を国内外に発信することにつながる。一層の取り組み強化を求めたい。
 「LGBTフレンドリー」とは、LGBTの人々に対して温かく開かれた状態であることを意味する。大手旅行サイトのトリップアドバイザーが2015年1月に「LGBTフレンドリー」ランキングを発表した。ベスト5はスウェーデン、ベルギー、フランス、オランダ、イギリスの順だった。
 日本は「LGBTフレンドリー」だろうか。博報堂DYホールディングスが今年6月に発表した調査結果によると、「LGBTという言葉を知っていたか」という質問には、当事者以外でも53%が「知っていた」と回答。職場や学校でのLGBTへの理解や配慮の重要性については、当事者の52%、非当事者の43%が「重要だ」と回答した。企業や自治体は一層の対応を求められる。
 那覇市は国内では先進的な取り組みを行っている。戸籍上の性別が同一のカップルを結婚相当の関係と認めるパートナーシップ制度を導入した。性的少数者が生きやすい社会の実現を目指すイベント「ピンクドット沖縄」を初回から共催してきた。4回目を迎える今年のイベントは、過去最多の20社が協賛企業として名を連ねた。
 県内企業の取り組みとしては、日本トランスオーシャン航空(JTA)を含むJALグループは今年から家族間で共有できるマイレージプログラムの対象に同性カップルを新たに加えた。ホテルはLGBTを対象とした宿泊プランやウエディングプランの商品を強化している。
 しかし、対応に後ろ向きな企業はまだ多い。LGBTのホテル利用やチャペル挙式を平日に限定したり、会場の貸し切りを条件にしたりする事例もある。
 日本政府観光局(JNTO)はLGBT向けの観光案内ページを北米向けに開設した。沖縄は多様な文化を受け入れてきた歴史がある。誰もが暮らしやすく、性的少数者が安心して滞在できる国際観光地を目指そう。