<社説>県人大会まで1カ月 最大の「うとぅいむち」で


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 国内外に広がる県系人の絆の強さ、意識の高まりが伝わってくるようだ。10月26日から始まる第6回世界のウチナーンチュ大会まで1カ月を切った。大会実行委員会事務局によると、21日時点で参加者は8089人に達し、最多だった前回大会の7363人を既に700人以上、上回っている。

 海外からの参加者は前回の5317人に対し、今回は1385人増の6702人と大幅に増えた。大会本番までさらなる参加が見込まれる。
 第3回大会のプレイベントとして始まり、沖縄と世界の若者が共に学ぶ「ジュニアスタディーツアー」の定着や、文化継承に取り組む海外県人会などの活動が実った証しといえる。
 今回の特徴は若者が主体的に母県とのつながりを求め、世界にネットワークを築こうとする点だ。
 25日には大会1カ月前企画として海外に派遣された高校生らによるシンポジウムが開かれた。ベトナム、ラオスを視察した高校生からは「何ができるかを考え、行動することが大事だ」と世界を視野にした決意が示された。
 さらに10月20~23日には世界若者ウチナーンチュ大会が開かれる。2012年のブラジル大会を皮切りに、アメリカ、ドイツ、フィリピンで毎年開催されてきた。今年は初めて沖縄での開催となる。
 県内各地の青年会が協力し、若者同士の交流を通して海外県系人と故郷をつなぐものだ。若者たちの出会いから国境を越えた新たな取り組みが生まれ、世界に広がることを期待したい。
 振り返れば「万国津梁の民」を宣言した第1回大会に始まり、言語の違いを超えて平和を希求した第2回大会があった。国際的な交流の輪を持続させようと提言があった第3回大会に続き、ウチナーンチュネットワークの拡充・深化を目指した第4回大会があり、若者ら次世代への「継承」を深めた第5回大会があった。
 回を重ねるごとに海外に住む県人と故郷の絆は強まっている。言葉の壁などから課題とされた3、4世以降の世代へのウチナーンチュアイデンティティーの継承も進みつつある。
 県民も国内外から故郷を訪れる人々を最大の「うとぅいむち(おもてなし)」で迎えたい。絆を再確認し、発展させる絶好の機会である。一人一人が主役の心意気を持って大会を成功に導こう。